iLife 11と呼ばれるアプリケーションパッケージが発売開始になる、という噂が増えてきた。いつかは発売されるだろうが、それがいますぐに発売されるかどうかは分からない。
そこで、iLifeアプリケーションが果たしているiPod/iPhone/iPadなどのデバイスの利用スタイルにおける意義について考えてみた。
MacユーザーがiPod/iPhone/iPadと定期的にデータのシンクロを行う必然性はある。便利なiLifeアプリケーションでデジカメの写真を管理したり、ムービーのデータを作ったりしているので、日常的に写真や音楽などがどんどん増えていく。
MacユーザーでiPhotoを使わずにデジカメの写真の管理をしているのは、よほどのへそ曲がりかApertureなどプロ向けのアプリケーションを使っているプロぐらいだろう。最新の写真や音楽をこれらのデバイスとシンクロしておきたい。理由も動機もたっぷりある、という状態だ。
だが、Windowsユーザーはどうか?
Windows+iPod/iPhone/iPadを使っているユーザーは、これらのデバイスを使いたいだけであり、たとえば音楽管理用にiTunesを本当に使いたがっているかどうかは疑問だし、だいたいまともな写真管理用アプリケーションをインストールしているかも疑問だ。
MacユーザーにとってiPhoneやiPadは、iTunes/アドレスブック/Safari/iCal/iPhoto/iMovie/GarageBand、あるいは追加で購入すればKeynote/Pages/Numbersのアプリケーションのデータを持ち歩いて活用する便利なデバイスなわけだが……Windowsユーザーから見れば、iTunesのデータ(音楽+ムービー+アプリ+電子ブック)を持ち歩くぐらいの存在でしかないのではないだろうか?
つまり、かなりの割合で存在しているはずのWindows+iPod/iPhone/iPadユーザーは、あまり母艦であるWindows PCとこれらのデバイスのシンクロを行うモチベーションが高くない、という仮説が立てられるし、実際にそのような話はよく耳にする。
データが日々増えるからこそ、より新しいデバイスやより容量の大きなデバイスが欲しくなるのであって、データが増えもせず、ただCDから取り込んだデータを一度iPodなりに転送して満足しているようなユーザーが多いと、Appleの商売はあがったりということになる。間抜けなユーザーがトイレに落としたり、落として壊したりしないかぎり、買い替えの需要は(iPod→iPhoneのような劇的な変化を演出しないかぎり)発生しづらいということにならないだろうか?
そこで、iLifeアプリケーションのWindows版を用意し、データをシンクロしやすくなるよう環境整備することは、Appleの利益に結びつくものと考える。
仮に、Windows版のiLifeアプリケーションというものが出るとしたら、どのようなものになるか?
まず、それは最新版のものではなくてもよいし、iLifeアプリケーションすべてでなくてもいい。
iPhoto、iChat(FaceTime)、GarageBand(の一部機能)あたりではないだろうか? これに、最大限譲歩してiMovie(最近の、ムービー管理に重点を置いた方のできそこないアプリ)を付けるという程度。これを、Mac版と同一価格で発売。
iDVDはつける必然性がないし、iWebも……WindowsプラットフォームにあったところでMobile.meを活用しやすくなるぐらいしかメリットがない。もし、iWebの最新版でiPhoneやiPad向けのWebサイトをサポートするものであれば、必然性は生まれてくるが……現時点では何も根拠がない。
Mac OS X版も未発表だが、「iBooks」のWindows版が同梱されないと逆におかしい。iLife 11 for Mac OS XにもiBooksは同梱されることになるだろう。
自社内でこれらのアプリケーションをすべて内製しているわけではないだろう。US国内(とかインドあたり)の下請けメーカーに仕様を出して作らせていると考えるべきだ。だとすれば、iOSとMac OS Xの2つのOSを個別に開発しているのでiLifeアプリの開発のための手が足りない、という可能性は考えにくい。
ハードウェアであれだけEMS(電子機器受託生産)の企業を使いまくっている会社が、ソフトウェアについては依託していないと考えるのは無理がある。