これまで、俳句や短歌を聞いて衝撃を受けたことはなかった。
だが、この一句には「バールのようなもの」で脳天をかち割られたぐらいの衝撃をくらった。
「鳴かぬなら それでいいじゃん ホトトギス」 By 織田信成
本当に本人が詠んだ句なのかは定かではないが、男子フィギアスケートの織田信成選手が詠んだのだとしたら、たいしたもんである。
そんなわけで、スケートの腕前よりもその織田家の末裔であるという超特異なキャラクターにずっと着目してきた。天下統一を目前まで成し遂げた、誰もが知っている戦国乱世の英雄の子孫。それでいて華麗なスケート選手というのは、かなりイケている。
そんな彼、織田信成選手が「できたっちゃ結婚」で中学校の同級生とゴールイン。来る10月には彼もパパになるんだっちゃ、とのことである。
そして、子供の名前に「信○」(○の中にはお好きな文字を入れてください)の名前を付けるつもりらしい、というニュースが飛び込んできた。
なぜかは分からないが、これを見て電撃に撃たれたようなショックを受けた。
このチャンスを逃したら、この戦国大名の末裔の息子の名前を「予想する」という面白イベントには二度と巡り合えないかもしれない!!
やるなら今しかない!!!!
「信」という字は、「信長」に習うなら「のぶ」と読むわけだが……別に読み方までは彼も指定していない。「しん」と読んだっていいはずだ。
織田信司(しんじ)
織田信二(しんじ)
……あまりぱっとしない。どこにでもいそうな感じの名前だ。あえて出自を隠そうとするならこんなものかもしれない。
仮に、「のぶな」までを使うのだとしたらどうなるか?
織田信仲(のぶなか)
木曽義仲みたいだ。
織田信泣(のぶなき)
まあ、そんなこともありました。
織田信梨(のぶなし)
山梨か?!
織田信並(のぶなみ)
普通だ。ただ、なぜそこまで普通を装わなくてはならないのかが分からない。
織田信夏(のぶなつ)
何も考えていない感じがいい。だが、それだけ。
織田信生(のぶなま)
ビールみたいだ。
織田信波(のぶなみ)
波ってなんだろう?
織田信南(のぶなん)
「のぶな」までで縛ると出てこない。
織田信大輔(のぶだいすけ)
ライバルの名前を踏み越えて行け、という父の現時点での願いが入りすぎ。
織田信翔(のぶしょう)
伝統的な名前と2010年流行りものの名前のフュージョン。ただ、心に何も響かない。
織田信寺(のぶてら)
歴史的に見て、延暦寺焼き打ちなど「寺」との相性はよくないと思います。
織田信天(のぶてん)
なんかの天ぷら。
織田信寅(のぶとら)
戦国の世であればよかったかもしれないが、太平の世では好まれないだろう。
織田信林(のぶりん)
ゴブリンみたいだ。
「音」の面白さだけで構成してはいけないのかもしれない。
あえて、平凡なパターンを考えると……
織田信介(のぶすけ)
織田信平(のぶへい)
織田信草(のぶくさ)
織田信史(のぶふみ)
織田信矢(のぶや)
織田信道(のぶみち)
織田信馬(のぶま)
こんな感じで、戦国大名の末裔という出自を完全に隠ぺいしてしまえそうだが……それはそれで面白くない。
では、有名な戦国武将の名前と合成してみたら?
織田信玄(のぶげん)
一瞬、スゴいと思ってしまったが、そのまま「しんげん」じゃないか。
… …さんざん考えた末に出て来たのが、
織田信太(のぶた)
織田信々(のぶのぶ)
あたりが限界だ。自分にはこのぐらいしかアイデアが出せない。無力だ。
だが、トンでもない逸材が身近に存在していた。誰あろう、ウチの奥方様である。
奥方様にこのルールを話すと、出て来る出て来る、耳を疑いたくなるような奇抜の名前のオンパレード。
ダメだ、一生この女には勝てないかもしれない。やはり、天才というか天然には勝てない。自分ごときがこの天才の前に勝とうなどと考えること自体が間違っているのだろう。
織田信丸(のぶまる)
殿様系の名前のはずなのに、「手下感」がいっぱいだ。なんだ、この力が入っていない感じは……
織田信礼安(のぶらいあん)
日本人の名前のはずなのに、海外の女優の名前にしか聴こえない。ここまで来ると、もはや何をやっているのか分らない。
なぜか、奥方様の特異な才能の前に打ちひしがれて、無力感に苛まれることになってしまった。
ただ、野ブライアン……いや、信礼案(のぶらいあん)だけはないはずである。織田信成選手のお子さんの名前が発表されるその日を期待したい。