教育市場をターゲットとしたeMacの後継機種が開発されているとの噂が、噂系サイトAppleInsiderに出ている。そして、その噂をもとにcnetが記事を掲載。どーせcnetなので、たいして裏もとっていないし、少々刺激的な内容であれば閲覧数が増えていいだろう、ぐらいのスタンスだ(いつものことだ)。
だが、テーマ自体は面白い。既存の機種から機能を削って廉価版機種をどーやって作り出すか? というのはかなり興味を惹かれる話だ。
廉価版iMac=New eMacについては、新機種が出てもおかしくはないし、出なくてもかまわないといったところか。CPUの世代交代が進んでIntel Coreの世代の製品が安くなれば、既存のMac miniなどを安く提供できるので、あえて新機種を開発する必要はない、という見方もできる。
eMacが登場した背景には、まだ液晶モニタの値段が(いまほどには)こなれていない時期、Appleはフライング気味に自社のラインナップからCRTを削除。業界の度肝を抜いたものの、これが結局コスト高を招いた。オリジナルのiMac(CRT搭載機)なき後、Appleは教育市場向けの低コストマシンを新たに投入する必要に迫られていたのだが、液晶モニタを使ったのでは、低コストマシンを作れなかった。
そして、Steve Jobs CEOが「CRTは死んだ!」と基調講演で高らかに宣言したにもかかわらず、きまり悪そうにこっそり出てきた「背に腹はかえられない」事情が生んだ超現実路線マシン。それがeMacだ。
だが、リーズナブルな値段とオリジナルiMacを思わせる筐体デザインがウケて予想外の高評価。教育市場専用だったものが、一般ユーザーへの販売を余儀なくされる、というオマケがつく(ウチの実家でもeMacを使っている)。
現在ではCRTの調達コストが液晶モニタと比べて劇的に安い、というわけでもなく……逆に、生産量が減っているので安定した量を供給できない可能性すら出てきている。故障した時の補修部品を確保できるかどうかも怪しい。
……というわけで、New eMacがCRTを採用することはなさそうだ。
cnetの記事でも紹介されているように、現行のiMacをベースに内蔵のCCDカメラ「iSight」や、赤外線リモコン「Apple Remote」などを省略してコストダウンを図る、という路線はあながち間違っているわけではない。
だが、これだけで十分だろうか?
17インチのiMacの筐体を基準に考えると、あの筐体のまま15インチか13インチの液晶に取り替え、さらなるコストダウンを図ってもおかしくはない(-3,000円。額面に根拠なし)。
OSをネットワークからブートさせるのであれば、光学ドライブはなくてもかまわないが、あったほうが有利なケースが多いので削れない。スピーカーも、マルチメディアアプリケーション(死語?)の実行に必要だ。ただし、Mac mini搭載の圧電スピーカ程度でいい(-500円)。
ビデオカメラをつないでビデオを編集するのにFireWireは必要だし、音声入出力についても削れない。光入出力の機能を削るぐらいか(-100円ぐらい?)。
あとは、CPUのランクを落とし(1.5GHzぐらい)、HDDの容量を減らし(80Gぐらい)、オンボードのグラフィックを使い…………ほかに削減できる部分はないか?(標準搭載メモリは512Mバイトでも少ないぐらいなので、これ以上削れない)
筐体を支える金属製の「足」を省略するとコストが削れそうだ。本体一体型(ただし、取り外しは可能)の足をハメ込むことで筐体を支えるのだ。可動部分がなくなるが、たいした影響はない。どうせ、eMacだって単体では画面の向きを変えられなかった。
……ほかでコストを削減できるのであれば、iSightは復活させたい。これは、ビデオ会議などを教室で行ううえで、どーしても削ることのできない戦略的なキーデバイスだと考えるからだ。無線LANも削れない。
そうだ、Bluetoothがあった。こいつは削れる。ただし、削ったところでどの程度のコストダウンになるのか、疑問は残る。
そして、最後の切り札が……「Intel Inside」ロゴの添付だ! 一般向けではないので、イメージがどうとか御託を並べる必要はない。これで、マーケティング費用をIntelからもらえるので、どーにかこーにか安いマシンに仕上げられるだろう。
価格は、Mac miniと同程度を想定(9万円台後半)。Intelロゴ入り! さあ、どうだ?! うむっ!!