安住紳一郎の日曜天国にマニア番組の可能性と難しさを見た

本日のTBSラジオ「安住紳一郎の日曜天国」のゲストコーナーに、昔お仕事でご一緒したインスタントラーメン評論家の大山即席斎さんが登場していた。 

私が仕事でご一緒したのは、もう10年以上昔になってしまうが……雑誌の連載記事のイラスト執筆の件だった。その連載記事は、立ち上げ段階から編集者/ライターに加えてイラストの大山さんの存在が欠かせなかった。 

私がライター女史と名刺交換した際に、名刺に書かれていた大山さんのイラストに、 

  「へえ~、かわいいイラストですね~」 

と、気づいたことに端を発する。 

その後、そのライター女史+大山さんのコンビで始まった連載記事は、さまざまなUNIXのシステム管理者の話を聞いて回るというインタビュー取材記事になった。その連載記事に「このイラストを入れましょう」という決定をしたことから、大山さんとのおつき合いがはじまった。 

人物の特徴をよくとらえて、写実的なタッチとマンガ風タッチの中間的な風味は、テクニカル系の雑誌の誌面を塗り替えるほどのインパクトがあった。単に硬いだけの誌面に辟易していた自分は、その連載記事をスタートできたことをおおいに喜び、かなりパワーをかけていた記憶がある。 

その大山さんがインスタントラーメンの専門家というかマニアさんだと知ったのは、ずいぶんと後になってからだ。95年のTVチャンピオン登場もオンエアをTVで見た。編集部に著書の「即席麺カタログ」を持ってきていただいたのも、ちょうどその頃だったろうか。いまも大切に手元に取ってある。時を経て、数回の引っ越しを重ねたが……この本はなくさず手元に置き続けてきた。 

世をしのぶ仮の姿としてサラリーマン生活を送っていたはずの大山さんであるが、いまはデイトレードなどを行いつつインスタントラーメン評論家として幅広い活動をされているようだ。 

ラジオでのトークも板についていて、危なげない感じでなめらかに話をしている。安住アナとの掛け合いも、まるでレギュラー出演者であるかのようだ(安住アナの伎倆によるところも大きいのかもしれないが)。 

日曜天国では、さまざまな専門家……というよりは、マニアさんをお呼びして話を聞く機会などを設けているようだ。やはり、その道を極めた専門バカ=プロフェッショナルの言葉には重みがある。 

何か、そういうマニアさんを毎回お呼びして番組を作ったら、それなりに面白いのではないか……などと考えた。たとえば……鉄道マニアさんから話を聞いたら、さぞ面白いことだろう。 

そう考えて、鉄道系のPodcastなどというものに興味を持ち、実際に番組を集めて聴いてみた。その可能性がどの程度あるのか、実際に調べてみようというわけである。 

結論は……全然だめ。鉄道系のPodcastは「ただ、列車の走行音を録音/録画してアップしているだけ」のダメな存在であり、鉄道車両や路線についての知識を分かりやすく解説して、かつエンターティンメントのレベルにまで昇華しているものではなかったからだ(私が見つけられていないだけで、実際にはあるのかもしれないが)。 

なかなか、人に分かりやすく専門知識を披露し、かみくだいて伝えられるとか、面白さを引き出すといったことは難しい仕事なのかもしれない。まして、マニアさん自身がそれを行うのは至難の業なのだろう。 

人は、一人では生きられないとは言ったものだが、マニアさんも一人では自身の価値を広く伝えることは難しいのだなーと感じたのであった。 

TBSのラジオ番組制作スタッフの努力と、安住アナの伎倆、そして大山さんの職人的な自己研鑽の努力に思いをめぐらせた次第。なかなか難しいものなのね(^ー^;;;

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