Zoom Q3を使いまくってみた!

旅行にZoom Q3を持って行った。ふつーにSONYのHandycamを使うような用途にZoom Q3を使って、その有用性がどんなもんか確認してみようというわけである。「そんなもんにQ3を使うな」と呆れられてしまいそうだが、機械の性能限界を知っておくことは重要だ。 


■リニアPCMレコーダーとして 

単なるリニアPCMレコーダー(高級録音マシン)として考えるなら、ひじょーーに有用な製品だろう。これに異を唱える人はいまい。 

ただ、その振る舞いについては少々疑問が残る部分もある。 


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付属のウィンドウスクリーン(風よけ)は……ないよりはマシというレベルのものであり、実用性を求めるなら他の製品向けのものを流用すべきだろう。 

実際に録音してみて分かったのだが、録音レベル(音量)の設定がHigh/Low/Autoの3つあり、Autoで録音したときに……SLが走っているのを録っていたら、困ったことが起きた。 

途中で大きな音(汽笛)が鳴ったら、それがMaxの音量だと認識されて、それから後は小さい音で録音されてしまった。 

この話は聞いていたことだったので、驚きはしなかったが……挙動を知らなかったら困ることだろう。Autoで不満がある場合にはHighに設定しておくべきだ。Lowに設定すると、ほとんど何も聞こえてこないのだが、おそらく大音量のライブ演奏の録音などに使うものと思われる。 

Zoom Q3のマイクはX/Y方式であり「比較的近くの音源」を録音するのに向いているマイク設定。遠くの音を録音して、音像がはっきりするか……というのは期待しない方がよい。そもそも、Podcastの録音用に購入したものなので、自分にとっては十分だが……そう感じない人がいることは否定しない。H4nなら音源までの距離などに合わせてマイクの設定が2段階で変更できるので、Q3で不満が出そうなら迷わずH4nをおすすめする。 

議事録用にコレを使う人がいるかどうかは分からないが、途中で議論がエキサイトして誰かが机をバシバシ叩くなどして大音量を出してしまった場合には、Auto設定時にはその後の議事内容がものすごく小さい音で録られてしまう。録音レベルなどの難しいことを考えずに高音質録音、という路線は支持したいんだけれど、結局よくもわるくもそれがQ3の限界。 

Podcast用なら、突発的な大音量も発生しないし近距離だし、部屋の中で収録するはずだし……かなり向いているといえる。 


■ビデオレコーダーとして 

ビデオ録画時には24bit/96KHzサンプリングの録音は行えない。24bit/48KHzサンプリングモードが最高で、落とそうと思えばMP3 48Kbpsまで落とせる(48Kbpsまで落とすと聴いていると情けなくなる)。 

この24bit/48KHzサンプリングで不満がでるか、というのが興味のポイントだったが、実際に録ってみて「十分だ」と感じられた。「音」に関して、このZoom Q3で裏切られるようなことはないだろう。マイクの感度も十分だ。 

ZoomのリニアPCMレコーダーH4、H4nと使ってみた(所有はしていない)感覚からいえば、H4より上かもしれないけどH4nほど音像がしっかりしているわけではない……という印象。H4/H4n使用時に気になった「サーーー」というノイズはQ3では感じられなかった。Sound SOAPなどのソフトでわざわざ高域ノイズを消す作業を行う必要がないのは助かる。 

H2は使ったことがないので分からないが、筐体の大きさではH2よりQ3のほうがだいぶ小さい。もちろん、H4やH4nなどよりも断然Q3の方が小さい。H4/H4nをつねにバッグに入れておくのはイヤだが、Q3なら許せる。取り扱いについてはそういう印象だ(MacBook Pro 17インチをつねに持ち歩いているぐらいなので、慣れの問題かもしれない、、、、)。 

映像についても、「意外と使える」という印象だ。ただ、そもそもの「期待値」がおっそろしく低いので、一般の期待レベルと同じかどうかは分からない。 

まず、車や電車から風景を撮影したような場合には、かなりつらい。車窓を流れるビルや家屋が、斜めに曲がって表示されるような感じ。記録か撮像素子からのデータ転送が間に合っていない印象だ。 

スクリーンショット(2009-11-15 18.21.58)


また、空の微妙な色の変化などを表現できるほどの性能はない。空を撮影していると、途中で不自然なグラデーションが表示されるのが気になった。観光撮影用のビデオとしては力不足だ(使うとは思えないが)。 

ビデオ撮影時に一番気になるのは、バッテリー寿命の短さだ。2時間撮影したらだいたいバッテリーがあがる。これは、一般的な家電系のビデオカメラからすれば信じられない短さだ。やはり、ライブ演奏の撮影や、プレゼンの録画を行うというあたりの用途に最適化されているのだろうか。単3乾電池で駆動できるので、電池が切れたら取り換えるといった運用は出来ないではないが、そもそも家電系のビデオカメラでそんな運用はしないだろう。 

そうはいっても、SLの走行音や船で川下りをしている最中の水音など、他のビデオカメラではとらえきれない「音」を記録できており、その臨場感は他を圧倒するものがある。 


■ソフトウェア関連は……ありえない(低)レベル 

このZoom Q3用のムービー管理/編集/Youtubeアップロードなどを行うアプリケーション「HandyShare」というものがある。Webからダウンロードして、SDHCカードにインストールして使うものだ。 


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つまり……Zoom Q3をUSB経由でコンピュータにつなぐと、Autorun.infファイルによってマウント時にプログラムの自動起動がかかるという仕組みなのだが……それは、Windowsの場合であって、Macの場合にはあろうことかiPhotoが起動してしまう(デジカメと同じフォルダ構造で管理しているので、iPhotoがデジカメ用のストレージとして認識)。 


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Mac用のQ3活用アプリケーションを作ってみようかとも考えないではないし、YoutubeへのアップロードはQuickTime Player Xの標準機能で行える。Macユーザー向けのZoom Q3活用ガイドみたいなものでも作ってみようかというところか。とにかく、標準添付ソフトのレベルは「あり得ない」レベルなので、「なかったこと」にしたほうがいい。

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