6月ぐらいだったか……唐突にMac OS X版のリーダーの新版が登場。オンラインでマンガなどの書籍や雑誌を購入し、MacやiPhoneでイーブック・イニシアティブの電子ブックを購入・閲覧できるようになった。
電子ブックといってもフォーマットはいろいろだ。この分野では老舗のボイジャー、小学館OBがはじめたイーブック・イニシアティブ・ジャパン。Flashベースのコンテンツを提供しており、2008年末にMac版のサポートをやめたソフトバンク系のイーブック・システムズ。
ebiBookReaderの見た目は、いままでの(名前のよく似た他社の)アプリケーションとは比べ物にならないほどMac OS Xらしいルック&フィールになっている。以前の(他社製)ソフトの出来(の悪さ)を知っているだけに、なおさら驚かされた。
このebiBookReaderは国内で開発したのだろうか。Info.plistの開発リージョン情報(Localization native development region)が「Japan」になっていたので、多分そうなんだろう。
ただ、まだ全体的にこなれていない箇所も散見される。
ebook japanのWebで試し読み書籍をダウンロードすると、最初に「dlfile.ebdl」という小さなファイルがダウンロードされ、これが自動的にオープンされて実際の書籍データのダウンロードが行われる。この、dlfile.ebdlファイルのダウンロードから書籍のダウンロードがつながっておらず、仕方なくdlfile.ebdlをダブルクリックして書籍データのダウンロードを継続。
この動作は、のちに実際に書籍データの購入を行ったときには最後まで通しで動いていた。このあたり……インストーラ・スクリプトの出来が悪いんだか、アプリケーションの出来が悪いんだか、そのあたりは定かではないが…………お試し本をダウンロードしてもすぐには読めないというわけで、疑問の残る仕様だ。
また、続けざまに10本ぐらいダウンロードしていると必ずダウンロード中にebiBookReaderがクラッシュして落ちる。さすがにMac OS XなのでOSごとクラッシュするようなことはないが、購入した書籍のダウンロード中にクラッシュするのは困る(実際にあった)。
一応、書籍データのダウンロードは購入後一定期間は再実行することが可能なので、再度ダウンロードすればよいが、単にダウンロードしている最中にクラッシュするというのは納得できない。
ただ、一度ダウンロードしてしまえば読書中にクラッシュしたとかいうことはなく、快適に読書できる。最初は、外付けの24インチの液晶モニタで見ていたのだが、ついついのめり込んで徹夜してしまったほどだ。最近は、喫茶店で17インチMacBook Proで読んでいる。
他のサイトのレビューでも目にしたことだが、この電子ブックサービスの最大の問題点は「価格」だ。マンガの書籍が1冊あたり450円ぐらいする。1000円以上のまとめ買いすると図書券らしき割引券がもらえるので、事実上のディスカウントを行っているようなものだが……割高であるとの感は拭えない。
品揃えについても、たとえば「課長 島耕作」シリーズは専務 島耕作の1巻までしか出ておらず、「社長 島耕作」はまだ読めない。最新の品揃えからすると3年ぐらい遅れている計算になりつつ、価格は新刊のままということになる。3年前に刊行されたマンガなら、普通の消費者にとってはブックオフで中古本で買うという程度の品だろう。
おそらく、この電子ブックサービスの利用者の中心は30〜40代のおじさん達だと思われるが、自分の愛読書「ゴルゴ13」は100巻までしか購入できない。このあたり、ちゃんと最新版(現時点で153巻)がすぐに読めるようなレベルまでキャッチアップしておく必要があるだろう(力説)。
価格面での見直しと品揃えが問題だ。