iPhoneのパワーアップは何を実現するためのもの?

iPhoneのハードウェアが、年々更新されてハイパワーなものになっていくということは、なんとはなしにではあるものの、業界の共通認識として共有されている話である。 

自分は、これまでのAppleのやり方から考えるとだいたい2年単位で更新するのではないかと思っていた。だが、どうももう少し急ピッチでパワーアップする可能性もありそうだ。そう考える理由は、ハイパワーなARM系CPUが(ようやく)出てきたからだ。

iPhoneへのIntel CPUの搭載と、Macとのバイナリ完全互換。それにともない、iPhone=Macという図式を完成させることがAppleのiPhone戦略におけるゴール地点だと当初は思っていたのだが、Intel CPUがiPhoneに搭載できるレベルまで低消費電力を実現できるかといえば、かなり難しいのではないか……と、見ている。当分は、ARM系のCPUをパワーアップさせて使っていくのだろう。 

東芝がスマートフォンに搭載した1GHz超えのSnapdragonは、Qualcommによる「ARMベース」のCPUなのだそうで、デュアルコアで1.5GHz駆動する製品も2009年下期にサンプル出荷が始まるのだとか。 

http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/42779.html 

携帯電話向けレベルの低消費電力が実現できるのかどうかは、現時点でなんともいえないが(出てみないとなんとも)、東芝のスマートフォンのバッテリ寿命に興味津々である。

iPhone搭載のCPUも2世代か3世代ぐらい先にはこのぐらいのレベルに到達しているかもしれない。ありえそうなのは、1.5GHzで駆動できるCPUを、余裕をもって1GHzぐらいで駆動させ、バッテリー寿命を確保するとかいう話である(ものすごくAppleならやりそうな話だ。別に携帯電話でベンチマークが速ければ快適、というわけではないのだし)。

バッテリーのことさえ考えなければ闇雲にパワーアップしてもよいのだろうが、バッテリー寿命とのバランスを考慮して段階的なパワーアップを行っていくことだろう。


今年の6月ないしは7月にiPhoneのハードウェア強化版が登場する……というのが世間の噂であり、ありそうな話ではある。だが、それはあくまでも何も問題が生じなかった場合の話であり、もう少し遅れる可能性についても考慮しておくべきだろう。 

iPhoneの強化とひとことにいっても、その分野および強化テーマは、画面(GPU)関連、CPU関連、ストレージ関連、通信関連など多岐に渡る。 

まず、最初に強化されなくてはならないのは……通信関連だろう。音声通話のクオリティを向上させるためにCPUのパワーを向上させるとか、通信速度のボトルネックになっているのが実はCPUの処理速度だった……という場合には、CPUのパワーアップもうなづける。 

もし、「通信」をテーマにCPUのパワーアップが行われるのであれば、OSそのものについては、現状の路線に毛が生えたぐらいのレベルを維持することになるだろう。スマートカードとの連携フレームワークが強化されたり、顔認識フレームワークが増える……といった、地味なアップデートが行われることが予想される。 

ストレージ(メモリ)へのアクセスを主眼としたCPUのパワーアップが行われる可能性も否定できない。大きなメモリを搭載すれば、それだけ大容量のデータを抱えることになり……CPUのパワーが変わらないままでは、ユーザーに「スピードが遅い」といった印象を与えかねない。現在、iPhoneのメーラーが一定の件数(200件だったか)しか本体内に記憶しないというのは、「できない」のではなくあえて「しない」ものとして考えている。その程度の件数であれば、現在のレベルのCPUでもストレスなく扱えるということなのだろう。 

画面関連の強化のためにCPUがパワーアップされる可能性もある。これは、よりレベルの高いゲームを動かすゲーム機として強化することを目的としている場合である。なるほど、考えてみるとApp Storeによるゲームの配信など、目下の戦略に合致している。iPhone搭載のGPUを強化すべく他社と提携している、といった話もあり……否定するための材料の方が少ないといった印象だ。 

だが、あえて希望的観測をこめて言いたいのは、「OSの機能アップ」のためのCPUパワーアップだ。具体的にいえば、フルバージョンのMac OS X搭載に向けて、段階的にハードウェアのスペックを向上させていくというシナリオである。ただ、常時走っているプロセスの数がiPhoneのOS XとMac OS Xでは比較にならない。すぐに実現されないかもしれないが、噂ではSnow LeopardにはiPhoneに搭載されているさまざまなサービス(GPSによる位置検知用フレームワークなど)が搭載されるという話も出てきている。 

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