奥方様と夕食をとっている時に、「課長 島耕作」ってどんな話なんだと聞かれた。私が徹夜してまで夢中になるマンガがどんなもんだか、興味を(ほんのちょっとだけ)喚起されたようだ。
「別に取り柄とか特殊な能力もなんもない主人公が、まわりの人を利用して大企業の中で成り上がっていくドラマ。ただし、主人公は異様に女性にモテる。電気店の奥様から、新入社員、女性秘書などことごとく島耕作に陥落。ある意味、一種のモンスター。
あと、老人に人気がある。上司に気に入られなくても、なぜか老人に気に入られて出世していく。釣りバカ日誌のハマちゃんみたいな存在。
なぜか親友に探偵みたいな人がいたり、たまたま会社の創業者の隠し子とデキたりして、他力本願で困難に打ち勝つ。ファンタジー気味でありながらギリギリ許されるかもなあという設定が魅力。
いつも無欲、いつもマイペース。
それでも、課長、部長、取締役、専務、社長とのぼりつめる主人公。田河水泡の『のらくろ』以来ひさしぶりに出世魚的にタイトルが変わっていくマンガ」
絶句する奥方様。「それのどこが面白いんだ?」と。
「読んでいて、割と生々しい感じがする組織の論理や、主人公が出向させられる業界や土地の話が面白かったり……ある意味、『大人向け社会科の教科書』的なところが見所。あとは、たまーーにストーリーが盛り上がって、背筋がしびれる箇所が数カ所ある。
主人公に思い入れはないが、脇役がすごく魅力的。万亀相談役の若い頃の姿が見られて思わず涙した。もちろん、上司の中沢課長(のちに、部長→取締役→社長)もすごくいい。主人公に歯向かってかみついていたが改心して軍門に下った人たちもものすごく魅力的に書かれている。ただし、主人公がどれだけ(寝技以外で)仕事ができるのかというのは、伝わってこない。とにかく女性とジジイにモテる。」
奥方様いわく、ゴルゴ13は「命を張って仕事をしている、プロフェッショナルとして共感できる部分がある」そうだが、課長 島耕作には感情移入しかねるのだそうだ。
課長 島耕作を男性から女性に変えてみると、たしかにそんなヤツぁいねーよ、というストーリー展開になることだろう。
奥方様の評価は「下半身のユルい男のサクセスストーリー。現代版の源氏物語。性的モンスター 島耕作」といったところだ。