雨の降る日曜日の夕方、私は用事を済ませて世田谷は桜新町のドトールコーヒーにいた。
しばし電話で友人と話をした後、先日購入した本を読んでおこうと思い、本を読み始めた。まあ、ここまでは静かな休日を送っているという雰囲気だったのだ。ちょっと眠かったので、ぼんやりしてもいた。
しばらくした後、1つ離れたイスに男が座って「のーとぱちょこん」(コ汚いパソコン)のキーボードをバチンバチンと打ちはじめた。手首にスナップをきかせてリターンキーを大音量で打ちやがる。仕事場ではそういうのも許されるかもしれないが、喫茶店でそれはないだろう。
その常軌を逸した騒音タイピングぶりに、なかば呆れ、そして「もうちょと静かにしてもらえないか? 自分もマシンを持って歩いているが、そんな音では打たないぞ」と、やんわりと言った。
ところが、そいつは「よその人がしゃべっているのと変わりはない。自分だけを指摘するのはおかしいのではないか」と逆ギレしてくってかかった。
ば、バカだ………(ーー;;; 常軌を逸した馬鹿だ。
本当に腹がたったのは、静かな休日の雰囲気を邪魔されたこともあっただろうし、キーボードの音がうるさかったということもあっただろう。
だが、ほんとーーに正直なことを言えば「そんなへったくそなキーボードの打ち方してんじゃねえよ、このバカ!」の一言につきた。うるさいうえにへたくそだったので、余計に腹が立ったのだった。
そいつが使っていたのは、パナソニックのちょっと古めのノートパソコン。これが、キーボードを叩くとうるさいのうるさくないの……自分も外でMacBook Proを使うことは多いが、静かに使うことに気をつけている。リターンキーは小指で押すので、実に静かだ(せわしないけど)。
別に、パナソニックが嫌いなわけでもないし、パナソニックのノートに特別の嫌悪感があるわけでもない。故・松下幸之助は立派な経営者だと思っている。ただ、パナソニックの製品は買わないし欲しくもないし、だいたいWindowsなんて使いたくないので選択肢に入ってこない。パナソニックのけばけばしい子供だましテイスト満載の家電製品なんか絶対に買わない……って、書いてみてはじめて実はかなり嫌っているのだという事実に気付く。ウチにはパナソニックの製品なんてひとつもない。あったとしても、乾電池か電球ぐらいだ。
しかし、そーゆーへたっくそな打鍵で騒音を出しているのが許せない。この安物があああああ! と、怒鳴ってしまいそうだったのだが……
(1)MacBook Pro 17インチを広げて「ほら、静かに打とうと思えば打てるでしょ?」的なデモンストレーションをしてもよかったのだが、相手が死んだ魚のような目をしたヤツだったので、「想定の範囲外」の対応をされる可能性があった。あえてマシンに危険を及ぼす可能性のあることをしたくなかった
(2)正直に「へたくそ」と言ってもよかったのだが、相手が逆ギレして刃物でも出してきたらいやだなーと思った
(3)せっかくの休日を、ケンカしてこのバカ一人のために最低な気分になるのは嫌だった
……ということで、キーボードの騒音に耐え切れなくなってその場を後にした。席を立ったあと、私の隣にいた他の人もそいつに注意していたようだった。ただ、その後の出来事はどうなったか知る由もない。
電車の中でも喫茶店でも、実に静かに高速なキータイピングをしている今日このごろである。逆に、音がしないのにおそろしく指が速く動いているのが不気味っぽいらしいが…………(^ー^;;;;;