AppleScriptが登場した1994年ごろからすでに存在していた、AppleScriptにGUIを付加する開発環境「FaceSpan」。その15年以上の歴史の中で、Mac OS Xへの移行期には開発が停滞したこともあったが、カナダのAppleScript系の有力デベロッパーLate Night Softwareの手に渡った。
US AppleのAppleScript Users MLに投稿があり、このFaceSpanの開発がsuspendされたという話であった。中断とか中止とか保留など、細かいニュアンスは分らないが……とにかく、開発をストップしたということだ。
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理由はいろいろあるようなのだが、設定していたデッドラインを遵守できなかったということらしい。2年ほどFaceSpanの開発を進めてきたが、ほかに売り物のソフトウェアもあるし、時間を割くのが難しいとか。
FaceSpanの開発を行っている間に世の中の動向が変わり、WebアプリやFlashなどが支持を広げていく中、AppleScriptベースのGUIアプリの市場性が疑わしくなってきた、ともいっている。
また、FaceSpanの有用性を確保するために、Cocoa ScriptingやAppleScript自体の技術的な制約に縛られることも問題となっていたという。
……いろいろ読んでみると、保留というよりも「中止」と解釈すべきだろう。燃え尽きた、とも書いてある。
Mac OS X 10.6環境のAppleScript Studioが大幅に変わるという見方もあり、これと競合することが難しいと見たのかもしれない(ごにょごにょ)。時期を考えるとこれがトドメを刺したのではないだろうか。
FaceSpanは、1つの価値観で完結している「箱庭」としてはシンプルでたいへんいいと思う。ただ、よくも悪くも「箱庭」なので……実際にアプリを組もうとしたときに制約が大きいこともまた事実。AppleScript Studioだと、AppleScript以外のいろんなことを覚えないと実用レベルのプログラムを組むのは難しいが、その反面なんでもできる。
また、一種の統合開発環境を小さなソフトハウスが作るということも、リソース的に無理があったのではないだろうか。
FaceSpanがLNSに移管されて、日本語対応はしていなかったものの、出来はそれなりによかったので期待していたのだが……ただ、開発が止まったからといってFaceSpanへの依存度は0%だったのでダメージはないという状況。