「来年初頭」にAppleタブレット登場?????

またまた噂ベースの話ばかりで恐縮だが、Appleのタブレット機(Macタブレット、とは誰も言っていない)が来年早々(?)に登場するという噂が、Mac系界隈を賑わせている。


根も葉もない笑止千万なアナリストの分析とか、特定の団体に利益誘導をしようという思惑、ユーザーの「こうあってほしい」という願望などをフィルタリングすると、噂からはある種の事実が見えてきたりする。


発売が近づくにつれ、情報の量が増え、正しい情報と間違った情報がごったになって流れてくるので、どれが正しいか、どれが間違っているのか精査しなくてはならない。


もちろん、すべての情報が正しいという場合もある。iPhoneの登場時には、3つぐらいの製品の噂が流れていたが……最終的に、それは1つの製品を別々の角度から見た話だった。この時には、事前に予測することができた。


だが、今回は難しい。だいたい、噂が流れるたびに、呼び名が変わる。「iPodの大型版」「Macタブレット」「Appleタブレット」と、かなりブレている。外観はiPhoneかiPod touchのような感じなのだろう。ここで、「Macタブレット」(Mac OS Xが動く)か、「大きなiPod touch」(iPhone OS)なのかは、いまだもって最大の謎である。CPUがどうのというよりも、「OS」がこのマシンの最大の関心事なのだ。



1つ1つ、噂を検証してみよう。


(1)発売時期

2009年10月にはWindows 7という強敵がいるので、なるべく同時期に発売することを(Apple的には)避けたいと自分は考える。10月発売というのは、Windows 7の発売日が確定する「前」の時点では真実だったのだろう。状況が変わったことを受け、Windows 7との(話題の)競合を避けるために何らかの理由づけを行い、わざわざApple内部から噂を流してみた、という話に見える。


ところが、「2010年早々に発売」という話とほぼ同時に「2009年9月か10月に発売すべくスケジュール調整中」といった相反する噂が出てきた。さすがに、9月のSnow Leopard発売と同時にこのタブレットを出すというのは無理だろうし、だいたい9月にはiPod touchやiPod nanoのモデルチェンジがあるはずだ。


iPod nanoの新製品は、カメラが付いて、曲名をしゃべる機能がついて、メモリ容量がちょこっと増える……とまあ、そんなところだろう。不人気な色のモデルが消えて、新色モデルが追加されるかもしれない。その程度だ。


iPod touchのほうは、ますます「電話機能のないiPhone」化し、カメラやマイクが付くことが確実視されている。GPSは分らないが、各種センサーはついていることだろう。iPhoneよりも「薄い」とか「契約がいらない」「バッテリーが長くもつ」ということに意義を見いだすユーザー向け、だろうか。海外の噂サイトで紹介されているように、iPod nanoは健在。だが、どうやらiPod Classicの今後はひじょうに見えなくなってきた(ヘビーユーザー向け機種として数年間あのまま放置状態のような気もする)。


このiPod touchがそのまま「Apple製タブレット」だとしたら、9月発売説は正しかったことになる。単に、Apple製タブレットと呼ばれていたものが「ちょっと大きいiPod touchだった」というだけのことだ。



(2)画面サイズ

10インチ、という話がここに来て浮上してきた。以前は7インチだといっていたのに。10インチという画面は、標準的な部品であれば1024×600ドットということになる。10インチのネットブックの画面部分を単体の製品にしたようなマシンになるのだろうか? 物理的なキーボードデバイスを載せないだろう、という予測はあるものの……このサイズだとノートに近い。iPhone/iPod touchの大型版とかいっても、ちょっと大きすぎである(7インチぐらいが適切なサイズだと思っていた。ちょうど2倍の画面サイズだと、iPhoneの画面を解像度だけ変更してそのまま表示できると思っていたからだ)。


(3)CPU+OS

わからない。本当に分らない。Atomよりも低消費電力のものを使いたいんだろう、という話は分るのだが、Intel系かARM系かが分らない。いっそ、「両方積んでみる」という話はあるかもしれない。Intel互換CPUでMac OS Xを利用し、Dashboard経由でiPhone OSを呼び出すようにすれば、iPhone OSはサンドボックス上で稼働しているので、Mac OS X側から「悪さ」をすることはできない。ネットブックにARM系CPUを搭載し、電源オン時に簡単なLinux系OSのユーザーインタフェースを呼び出してメールチェックなどを行うという話があったが、そうした利用形態に近い「ニコイチ」マシンだと、使い勝手はいいかもしれない。


反面、バッテリーの消費がたいへん増えるので、「IntelとARMのニコイチCPU」「Intel CPU上でのiPhone OSのフル・エミュレーション」「ARMベースでMac OS Xを稼働させ、サンドボックス上でiPhone OSを別途稼働」といったさまざまなパターンが考えられる。このマシンの一番の悩みどころがCPUとOSだ。


1GHzぐらいのARM系CPUを載せてきそうな感じがものすごくするのだが、これにはとくに根拠はない。でも、状況を見るとどうもこのあたりのスペックのCPUを載せてきそうな気配である。



(4)3Gネットワーク機能

もはや、このタブレットに3Gネットワーク機能が付いていることは(噂の上では)既定路線化している。通話については分らないが、WiMAXはどうなるのだろうか? WiMAXの米国での普及はいまひとつと聞いている。


(5)このマシンのコンセプト

単に製品ラインナップのブリッジを行うため「だけの」マシンをAppleが出してくるとは考えにくい。iPodやiPhoneのユーザーをMacの世界に引き上げるためのマシン、というコンセプトは考えないではないが、きょうび、「何を売るのか明確ではないマシン」というのも考えにくい。iPhone OSとMac OS Xの両方の世界観を体験できるモバイルマシン、というお題目を考えないではないが、具体的なことがまったく見えない。「リッチなPDFビューワー」とかいった製品像も考えられなくはないが、新たな市場を形成するほどではない。



情報を精査していくと、どうもいま「Appleタブレット」として語られている話は、複数の製品の噂が合成されて1つの製品として語られているように感じられる。ここで、乱暴な仮説を立ててみよう。


実は、


 Macタブレット + iPodタブレット


が別々に登場するのだとしたらどうだろう?(確証はまったくない) 


Macタブレットは、AtomかARMが載って、Mac OS Xが動くマシンで3Gネットワーク標準搭載。携帯電話の販売店の店頭で売られる初のMacとして紹介される。画面は10インチ。ああ、この構成だとキーボードが欲しくなる。


iPodタブレット(大きなiPod touch)は、ARM搭載でブックリーダー的な性格の強いマシン。こちらも、3Gネットワーク標準搭載。画面は7インチ。


無責任にいろいろ考えてみただけなので、何らかの根拠があるわけではない。もうちょっと、判断材料になる情報が流れてこないものだろうか。


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