実にもったいないというか、そろそろ再ブレークするかと思っていたQuickTime VRは事実上終わってしまった。
だいたい、iPhoneでサポートされていないあたりから不穏なものを感じていたのだが、現状をまとめてみると……
QuickTime Player X:サポートなし
QuickTime Player 7:サポートあり
ということで、いつまで従来型のQuickTime Player 7のダウンロードが可能か、また……次のOSアップデート時(Mac OS X 10.7)でもQuickTime Player 7が動作するのかは保証の限りではない。
個人的にはまだQuickTime Player Xの機能は必要十分なレベルに達していないと思うので、QuickTime Player 7のダウンロードおよびサポートは継続してほしいと考える。
まったく気にしていなかったのだが、WindowsのQuickTime PlayerでのQuickTime VRサポートはどうなっているのだろうか? Windows用にはQuickTime Player Xに相当するものはない。
調べてみたところ、64ビットのWindows上ではQuickTime VRは機能しないとのこと。32ビット版のOS上であれば動作はするようだ。
それで、QuickTime VR系のクリエーターがどこに移行しているのかといえば、Flash形式に変換してFlashのビューワーで閲覧するようにすすめているとかで……どこぞのおJobs様が「Flashはけしからん」云々とブチ上げていたが、FlashよりもQuickTime VRの方がけしからん状態になっている。この件に関して、AppleはAdobeを非難できた立場ではないだろう(かといってAdobeを擁護するつもりも毛頭ない)。
・デジカメの画素数アップに伴い、VRソリューションが実用レベルに(画像の拡大に堪えるレベルの解像度をもつ写真の撮影がお安いレベルの製品でも可能)
・ワンショットで360度の撮影が可能なデジカメ用ミラーレンズが続々登場
・iPod/iPhoneの普及に伴いiTunesのインストールベース=QuickTime Playerのインストールベースの増加
といった「おいしい」状況が整いつつあったのに、QuickTime VRを事実上打ち切ってしまっているのは非常に残念だ。まーー、Apple純正のオーサライズ環境がMac OS Xに引き継がれなかったりと、「10年近くよくこの状態で維持されてきたな~」という状況ではあるのだが。
WebObjectsといい、QuickTime VRといい、「えーー、なんでこれ今やめちゃうの?」という、1つの技術体系の「死」を観察する機会に立ち会ってしまった。技術の生態系が一度ダメになってしまうと、再生するのは無理。
「AppleScriptの穴」のサイトをはじめた理由の1つに、AppleScriptをそうした「死に筋」の技術に仲間入りさせてはいけないと考えた、ということがある。