これが何であるか説明するのに、どの程度の努力が必要なんだろう? とりあえずチャレンジしてみよう。
現在、コンピュータは32ビットから64ビットへの移行期にある(ような気がする)。64の前は32、32の前は16ビットのコンピュータがあった。初代のMacintoshは68000の8MHzぐらいの16ビットコンピュータだった。
16ビットの前は何か? 8ビットだ。8ビットコンピュータが、いわゆるパーソナルコンピュータの先駆けといえるはじめての存在だった。Apple Computerの最初のコンピュータ製品「Apple」は6502という8ビットのCPUを使っていた。
アメリカからちょっと遅れて、日本でも8ビットのコンピュータが製品化され……いまではコンピュータを作っていないようなメーカーからもさまざまなコンピュータが登場。
その中にシャープというメーカーがあった(いまもあるけど)。シャープのコンピュータ事業部(半導体事業部?)はMZというコンピュータを、テレビ事業部はX1というコンピュータを出していた。
で、それらとは別に電卓を手がける「パーソナルOA事業部」というところがあって、その事業部が出してきたのが電卓の親分にあたる「ポケットコンピュータ」だ。一時はデパートの文房具売り場でも売られていたほどの勢いのある製品で、さまざまなバリエーションの製品が世に送り出された。
その中に、高級志向のPC-1500シリーズというのがあって、定型封筒ぐらいの大きさで厚みが2センチぐらいあった。けっこう大振りな筐体で、周辺機器をいろいろつないでシステムアップできるというのがウリだった。
さらにこいつの後継機種のPC-1600Kが1986年ごろに出てきた。ちょうど大学受験まっさかりのころに出てきたので、さすがにすぐには手を出せなかった。そのため、発売時期をものすごくよく覚えている。
そのPC-1600K(にかぎらないが)には、特定のシステムを構築することを目的としたソフトウェアプレーヤー的な「実行専用機」というものがあった。中身は変わらないし、外形寸法も違わない。周辺機器もソフトウェアもそのまま使える。
ただ、フル・キーボードではなくテンキーと10個ぐらいのキーボードを備えているだけの製品だ。プログラムは組めないが、プログラムを走らせることだけはできる。保険の外交員などがこれを持ち歩いて計算をしたりしていたようだ。
その実行専用機のPC-1605Kというのが一時期秋葉原で捨て値同然(3,800円)で大量に放出されたことがあり、マニア屋さんがこぞって買いあさった。たしか、T-Zoneで放出されていたような記憶がある。大学4年生のころだったのではないだろうか。とにかく、めちゃめちゃ安かったのだ。
2・3台購入して、1台は使い込んでいろいろやってみたが、代替機として購入したものはずーーーっと本棚で箱に入ったままになっていた。
それが、さきほど出土して……あまりにキレイなままだったので、それが20年以上も前の製品であることを忘れてしまうほど(^ー^;;;; 電池を入れたらちゃんと動作した。
さすがに、いまは使わないので……ふたたびデッドストック状態に(汗)
ちなみに、ポケットコンピュータはその後「電子手帳」としてふたたび一世を風靡するが、ブームの終息とともに電子手帳ともども忘れられた存在になったのだった。
さらに電子手帳ZaursシリーズはLinuxを搭載した「Linux Zaurs」(通称リナザウ)に進化。その後どうなるのかと遠くから見守っていたが、その系列の製品は終息したようだ(「NetWalker」というARMベースのスマートブックがその末裔らしいが……)。
いま、iPhoneとかiPod touchが「ポケットコンピュータ」として紹介されていたりするが…………たしかにこいつらはポケットには入るが、自前でプログラムを組めないし、ちょっと違う気がする。その一方で、iPadは何か「未完成な器」としての、同種の匂いをちょっと感じてしまう。