実家の父親と電話でiPadについて話をした。
父親がずいぶんとiPadについて情報収集していたことにも驚いたが、「これでお母さんが使えるコンピュータが出てきた」と本質を理解していたことにも驚かされた。
そう、これは「パパママコンピュータ」と呼ばれている。自分たちが使うのではなく、父親や母親に使わせるコンピュータというわけだ(実家にあるのはiBook G4とかeMacなので、母艦になるIntel Macが別途必要にはなるだろうが……)。
母親にコンピュータを使わせるのは難しい。とくに、キーボードをたたいて入力を行うのが死ぬほど大変だ。
だが、タッチスクリーン上にキーボードが表示されるのであれば、いちいち視線がウロウロしなくてよいだろう。コンピュータが使えない母親も、銀行のATMは使える。タッチスクリーンはそういうキーボードと縁のない世代には有効だろうとは思っていた。
父親「これってシンプルでいいんだけど、チラシの印刷ぐらいはできないのか?」
自分「無理じゃないですかね。電子ブック化を推進しようというマシンに印刷機能がつくって、それコンセプト間違ってるでしょ」
たしかに、彼らはWebを見たりメールをやりとりしたりデジカメの写真を整理する程度のメディア消費者ではあるのだけれど、同時に町内会のチラシを作ったりする程度の生産は行う。
電子ブック端末として、本当のペーパーレス社会を築く礎となるかもしれないiPad。そのiPadにチラシの印刷を行わせるというのは少々こっけいだ。
こっけいではあるのだが、彼らの主張にも一理ある。プリンタがあるんだから、プリンタに印刷することも行いたいという主張だ。
実物をさわっていないので不明だが……現行のOSにはプリンタドライバの仕組みは入っていないだろうし、自前のアプリケーションで印刷を行うというのが関の山だ。
次のiPhone/iPad OS 4.xでプリンタのサポートを行う可能性は…………限りなく低いというよりは「ない」。おJobs様の性格と審美眼に、わざわざデジタルのデータを紙に打ち出すプリンタという存在は「時代おくれの遺物」にしか見えないことだろう。
無線LAN経由でMacにPDFを送って印刷させる、という仕組みであれば無理がなさそうだ。探せばありそうな気がしてきたが……はて(ーー;; あるいは、iPadの画面上に印刷内容を表示させておき、複合機のスキャナ面に裏返して置いておいてカラーコピーするとかいうのではダメだろうか。
父親とは「デジタルフォトフレームの市場がなくなる。iPadで表示させて置いておくほうがずっとキレイだ」という話をしたら同意を得た。自分の理想とするようなレベルの製品が出てきたことに、父親も興奮を隠せないようだった。母親にも使えるコンピュータというのは……たしかにすごい。