iPadの登場でスマートペンが終わったことを知る

ここ数年、MacWorld Expoでは同じAnoto方式の(紙の上に印字されたマイクロドットを光学的にスキャンして移動量+移動方向を検知する)デジタルペンが、違う会社からかわるがわる出されては、Expoでバカ売れするという図式が繰り返されているが……そろそろこれらの電子ペンも、風向きが変わってくる頃ではないだろうか? 

今年のExpoで売れていたのは、LiveScribeのスマートペン。Mac OS X版のアプリケーションをダウンロードすることができ、それなりに出来もいい(それなりだが)。Mac OS X向けのSDKも出てくると言われている。 

以前のAnoto+Maxellのソリューション「Pen-It Notes」よりも価格がリーズナブルなところがよいし、ちゃんとMac OS X 10.5以降に対応しているのもいい(Pen-It Notesでは10.5およびUniversal Binary対応でしくじった)。 

LiveScribeのスマートペンは、たしかにPen-It Notesがそのまま10.5/Universal Binaryに対応し、Pen-Itが評価キットの段階を抜けないものだったことに比べると、ちゃんと製品になっている。 

だが……iPhone/iPadの時代に入ってしまうと、こうしたスマートペンはますます行き場がなくなってしまうのではないだろうか。スマートペンはいわゆる「紙コンピューティング」を体現するものであり、紙が存在することが前提条件だ。 

だが、iPhone/iPadは「紙」のない世界を実現する、紙をデジタルに置き換えるような世界観をもたらすコンピュータのはずだ。以前は、iPhoneとスマートペンの併用……といった光景も思い浮かべないではなかったが、iPadが出てくるに及んで、それが間違いであったことに気付かされた。そこに「紙」が存在しようはずがないからだ。 

LiveScribeスマートペンは、たしかにスマートペンとしては過去最高傑作品ではあるのだけれど、紙を前提としない時代になると……現在よりもさらにニッチな市場にしか居場所がなくなってしまうのではないだろうか。

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