各種アプリケーションの情報を表示するのに、コンピュータ本体につなげるサブモニターが作れないだろうかと考えていたことがあった。
・Mac mini用の「モニタ以外の」情報出力デバイス(2005)
それについては他の人もそう考えていたようで、ノートPCにサブモニタを設ける例なども見られた。ノートPCのOSを起動せずに各種情報を表示したり、ワンセグのテレビ画面を表示したり……そのような実装例は見てきた。だが、それは単にコンピュータ本体のガジェット(デジタルおもちゃ)としての魅力を高めるための小手先のサル知恵であり、コンピュータの起動中に作業性や生産性を高めるための武器にまで昇華されてはいない……というか、そもそも目指している方向性が違う。
・富士通、水冷/サブディスプレイ搭載の16型ノート「FMV-BIBLO NW」
コンピュータは武器である。情報を収集し、整理し、加工し、新たな価値を生み出すための武器である。
武器や道具として考えると、汎用的なディスプレイのほかに特定の情報を常時表示している専用のサブディスプレイが存在していたほうが都合がよいはずだ。たとえば、自動車のスピードを知るために、わざわざキーボードのF12を押して速度計ウィジェットを呼び出す……などという操作が必要だとしたら、とてもではないがかったるくて使っていられないだろう。速度計のディスプレイ、あるいはフロントガラスに投影された速度計を見て確認するほうがずっと理にかなっている。
私は長年、腕時計をしてこなかった。理由は「いつもコンピュータの前にいるんだし、メニューバーの右端に時間が出ているんだし、携帯電話にも時刻が表示されている。いまさら腕時計なんていらない」というものだった。そして、奥方様がプレゼントしてくれるというので去年ピエール・ラニエ(フランスのセイコーみたいな会社)社製の腕時計を(数年ぶりに)するようになったのだが、自らの身をもってあらためて分った。やはり、腕時計はあったほうがいい(汗)
かように、専用のディスプレイ(時計)があったほうが便利なケースは多いが、それが物理的に独立している必要があるかどうか、という問題は依然として残る。たとえば、Appleのエンジニアたちは汎用的なディスプレイの上にオーバーレイ表示で専用の表示アプリケーションを表示(DashboardのWidget)したほうが合理的だと考えた。
しかし、プログラムを作っている最中とかグラフィックをPhotoshopで作成している間、メインモニタに余計なものが表示されているのはあまり好ましくない。複数台、同じような大きさのモニタを並べ、マルチモニタ環境にしてもよいのだが、マルチモニタは明らかに「気が散る」のでさほど作業に没頭できない。17インチMacBook Proを使ってひじょーに痛感している。大きなモニタがいっこあったほうが作業効率は上がる。もちろん、「広い」とか「狭い」といった瑣末な概念を無視できるような30インチぐらいの広大なモニタを使えれば、なんでもかんでも表示できるわけであるが、たくさんウィンドウがある中から探さなくてはならなくなり、やはり専用のサブディスプレイがあったほうがいいんじゃないかと考えるものである(ちょっと強引)。
数年前には「自作するとどのぐらいのお値段で……」などと探していたのだが、ぼーっとしている間に、ほぼそれに近い製品が世の中に出てきてしまっていた。最初は「なんだ、USBでつなぐなんて表示の遅そうなモニタだな〜」ぐらいにしか考えていなかったのだが………………よくよく考えれば、USBから給電するから他に電源はいらないわ、小型軽量でカバンに入れて歩けるわ、おまけにフツーに入手できるのでゼロから作るよりも割安だわ、ドライバを自分で作る必要はないわで……………
やはりこれは人として必要なデバイスなのではないかと考えるようになった。センチュリーのplus one 4.3インチUSB接続サブモニター 「LCD-4300U」である。近く、8インチ版も出るらしいがそっちはいらない。小さいほうが使い勝手がいいはずだ。
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以前、実際にMacにつないで評価した人に話を聞いてみたのだが、「表示が遅くてやってらんない」「アニメーションの多いMac OS Xには不向き」という話であった。
だが……これは、あくまでも「汎用ディスプレイ」として考えた場合の話であって、特定のアプリケーションの実行結果の表示用の「専用モニタ」と考えると、非常に有効だ。
たとえば、自分はメールボックスの仕分けにAppleScriptで作った整理用のエージェントを定期的に走らせている。このエージェントは、メールのSubjectを見て、サブフォルダに仕分けを行う。サブフォルダの名称には「10.5, Leopard」といったように1つの単語だけではなく類義語をカンマで並べて一緒に書いておき、エージェントがその類義語まできっちり認識してフォルダ分けを行う仕組みだ。
このエージェントはUS Appleの開発系メーリングリストを中心に100以上のメールフォルダ(さらに、その下には数千のサブフォルダがある)を巡回して仕分けを行うようになっているのだが、ひとつのフォルダの作業が終了すると、Growlを使ってフローティング表示で経過報告するようになっている。このGrowlのレポート表示などは、専用ディスプレイに表示してもらったほうが便利そうだ。
また、近々のスケジュールの情報や、受信したメールの傾向報告。この手のレポーティング系アプリケーションならAppleScriptの独壇場だ。
実際に、LCD-4300Uのサイトで仕様を確認したところ、ひとつだけ「足りない」ものがあった。それは、デジカメ用三脚にマウントするための「マウントホール」である。このモニタは、床にべったり置くのではダメで、デジカメ用三脚にマウントして、パソコンのモニタの横や上に表示を出すべきである。
実際に並べたシミュレーション画像(↑)を作成してみた。さて、どんなものだろうか?(^ー^;