iPod touch 32GBが昨日唐突に登場した。実際に(奥方様の)実物を使用してみて、iPod touchのデータ転送速度の遅さが非常に気になっているので、32GBぶんの音楽やムービーを転送するのに、どれだけの時間がかかるのか予想もつかない。
iPod touchの登場時には容量の少なさを指摘していたが、大容量のモデルが出たら出たで問題点がある。大量のデータ転送時もそうだが、10曲程度を出勤前にシンクロ転送して、ささっとUSBコネクタをひっこ抜いて出かける……とかいう真似も、少々ためらわれてしまうスピードだ。
どうも、iPod touchが「完全体」になるためには、高速なデータ転送が可能なフラッシュメモリを搭載するか、IAベースの超低消費電力CPUが搭載されるか、あるいはそれらのすべてが実現する必要があるのかもしれない。
32GBモデルの登場は、たしかにフラッシュメモリの価格下落にともなって、まるで四季のめぐりの中で冬が過ぎて春が到来するがごとくとーーぜんのこととして予想されていたことではあるが、あえてこの時期に登場したことに意義を感じずにはいられない。
開発者向けにSDKが公開されるのがこの2008年の2月。SDKと一緒に何が発表されるのか。何か、Apple純正のアプリケーションが登場してくることを期待してしまうところだ。
たとえば、Keynote。
Keynoteのプレゼンを実行するだけのKeynote Runnerという存在であってもいい(映像出力はコンポジット出力でもよいだろう)。何か、大物アプリのiPod touch版みたいなものが出てくることを期待してしまう。ファイルメーカーのBentoあたりもありそうだ。
ファームウェア1.1.3アップデートで、アプリケーションを格納する/Applicationsフォルダが、従来の/var/rootから/var/mobile下に移動したとのこと。このあたりにアプリケーションをインストールすることになる、と言われている(このへん、実機を持っていじり回していないので請け売り)。
どちらかといえば、この32GBという容量は……大量にムービーや音楽を入れておいてもいいのだけれど、アプリケーションを入れておくためにこれだけあれば十分でしょ? と、言われているような気がする。
開発者はこれを買え、と言われているような気がしないでもない。ただ、SDKにエミュレータ環境が含まれるという話もあるので、動作検証用としては最低限の容量のiPod touchでもあればよいのかもしれない。
ここまで書いてみて、以前に予想した「MacPod(ARM)」のスペックにこのiPod touch 32Gバイト版はよく似ている。これだけの容量があれば、フルスペックのMac OS Xをインストールすることも不可能ではないかもしれない。ただ、動かすには不自由しそうなので、その可能性はないものと見ているが……2月末にはこのあたりの状況が明らかになってくることだろう。