再び噂になる「Piles」の存在

Exposeが登場する前に話題になったMac OS X上のUser Interfaceの新ギミック(と呼ばれるもの)が1つある。「Piles」と呼ばれるものだ。Appleが1994年に取得した特許の中にこのPilesがあり、新たなユーザーインタフェースとして採用されるのではないかという(根拠レスな)観測が飛び交った。

これは、関連するファイルを1つの山に重ねておいて、1つの情報として扱えるというもの(バンドルに近い?)。ユーザーが何らかの操作を加えることで、重ねた状態から分離した状態になり、個別の操作が可能になるという仕組みだ。

噂レベルでは随分前(Mac OS X 10.3登場以前)からささやかれていた話ではあるものの、Mac OS X 10.3で(似たような方向性の)Exposeが登場したことにより、Pilesは「廃案になったアイデア」なのだろうと見なされるようになった。特許だけ取得して実際に使われないアイデアというのは、Apple社内に山のようにある(らしい)。

その忘れ去られたアイデアであったはずのPilesが、ふたたび噂系サイトで話題になっている。依然として継続して開発が進められているといった種類の噂だ。

Pilesは、ファイルをまとめるという意味ではフォルダに似ているし、一定のルールで散らばったファイルを集めるという意味では、Smart Folderに似ている(たぶん)。

そして、おそらくPilesの上にマウスカーソルを置いてしばらくするとPilesにまとめられていたファイル群のサムネールが生成され、アニメーション表示で画面上に並べられるのだろう(Core Animationでも使って)。このあたり、ファイル数がやたらと増えた場合には処理時間が膨大にかかったり、サムネールが存在しないようなファイルだと行っても意味がないような雰囲気である。

フォルダではなくPilesを使う必然性のあるケースというのはどういったものだろうか?

1つの仕事に関係するファイルは、だいたい1つのフォルダ内にまとめて配置されていたりする。Finderウィンドウの2次元平面上でのファイルの場所によって関連づけを表現したり、ラベルをつけて済んだ仕事か急ぎの用件かといったことを表したりする。

だが、この方法はFinderのウィンドウの2次元平面的な大きさ、つまり面積の大きさによって効率が変わってくる。純粋に画面の面積の大きさに使い勝手が比例する。狭い画面では使い勝手がよろしくないし(アイコンのサイズを変更することで対応は可能だが)、広い画面でもファイルの数が増えれば使い勝手は悪くなったりする。

Pilesは、この面積依存のファイルの並び方を解決できるものではないだろうか、という仮説を立ててみる。

また、Pilesにフォルダを登録しておくことで、個別のファイルの集まりではなく、さらに上位概念ともいえるプロジェクト単位のプレビューといったことも可能になるかもしれない(ちょっと無理がありそうだが)。

さらに、PilesとSmart Folderの相性はよさそうだ。仮想的にファイルを収集し、1つのフォルダ内にあるように見せる方向にSmart Folderが進化するとして…………ファイル数が増えると、やはり不利になるだろう。

まとめると……Pilesは、ファイル分類に位置情報やまとまりといった概念をFinderウィンドウの物理的な大きさに依存せずに実現することで、「分かりやすさ」「整理のしやすさ」をもたらすものになるかもしれない。

ただし、ファイル数が増えたときのスケーラビリティがなさそうだし、かなりビジュアル表現に力を入れないと一般ユーザーにはウケなさそうだ。

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