奥方様の仕事の書類を全消去する大失態

先日、奥方様から「MacBook Air上でWindowsが動くように直してほしぃ~」と、依頼を受けた。いや、依頼ではなくこれはウチで言うところの「音声認識命令」である。 

上級編のテーブルマナーで……目上の人に塩をとってほしいときに「それは塩ですか?」と聞くというものがある。見れば塩だと分かるものを、あえて聞くことで、とってほしいという「お願い」をする高度なテーブルマナーなのだそうだが……まあ、そういう感じでお願いをされたということなのだ。 

……で、MacBook Airは1.8インチの80G HDDが入っており、容量があんまり大きくない。SSDモデルもあるけど、もっと容量が小さかった(いまでは進歩の止まった感のある1.8インチHDDよりも、SSDの容量が追い抜く勢いである)。 

仕方なく、使っていなさそうなファイルを消して、容量を稼いでみた。 

以前は、Parallels 3.0+Windows 2000が動いていたのだが、Mac OS Xのバージョンを10.5に上げたときにWindows 2000のVMが動かなくなって、そのまま放置状態。そして10.6環境に問答無用でバージョンアップ。Parallels 3.0は起動すらしなくなっていた。 

自分がMacBook Pro 17インチ上でMac OS X 10.5や10.6上でParallels 4.0を使っていて、3.0の頃よりも起動が遅くなったとか重くなったとか、Windows 2000のVirtual Machineの起動ができなくなったとか、3DゲームなんてやらないからもうちょっとなんとかしてほしいとかParallelsに山のよーに不満を抱えるようになり…… 

  「グッバイ! Parallels!」 

ということで、SunのVirtualBox上にWindows XPを入れて奥方様のニーズに応えた。ParallelsよりもはるかにスイスイWindows XPが動くVirtualBox。ゲームや3Dやマルチコアのハードを生かす方向に進化しすぎて使いにくくなってきたParallelsよりも、フリーのVirtualBoxのほうが快適だという皮肉(VistaやWindows 7だと話は違うとは思うが)。 



……まではよかったんだが、その途中で消したファイルの中に、奥方様の仕事の書類が入っていたらしい!!!!! 

すぐさま、さまざまな復旧ツールを使ってみるが…………そういうのは………あらかじめ復旧ツールを入れておいた状態では戻せるが、後から入れても無駄っぽい(汗) オンラン版をいくつも買って、いろいろ試しはするものの、全部ダメだった。 

かくして、奥方様が精根こめて作成した華麗なKeynoteやらPagesの書類は雲散霧消。奥方様も衝撃を受けていたが、私もショックのあまりリアルに寝込んでしまったほどだ(ーー;; 

  「グッバイ! 私の労働成果!!!」 

と、奥方様が言ったか言わないかは定かではないが、怒るに怒れない状況で、「これがキミだったら、むちゃくちゃ激怒してるに違いない」と私をなじるぐらいで抑えられている奥方様は、さすが人間ができていらっしゃるとしか言いようがない。 

自分だったらブチ切れて泣いてしまうことだろう……というより、そんなことがないように他人にマシンはさわらせない(Apple Storeに修理でマシンを預けた際にも、「HDDが消えてしまってもよいですか?」と聞かれ、「そんなことしたらブチ殺す」と真顔で即答)。 


それから、2週間が経過。夫婦の間でも「仕事書類一括削除事件」の衝撃から立ち直りかけていたさなか、弟の家にiMac CoreDuo 2.0GHzを持っていくこととなり、HDDの内容を整理していた。必要な書類を別のHDDにバックアップし、内容を完全消去するという地道な作業だ。 

……そこに、見慣れないフォルダが………あれっ?! 奥方様の書類を消去する前に、おりこうさんの自分がまるごとバックアップをしていたらしいよ!! ナイス! 昔の自分!  

やっぱり、人の言うことをいちいち疑って生きてないとコンピュータ業界で仕事できないよねっ!(^ー^;;; その当時、眠い目をこすりながら、削除する前にフォルダをまるごと別のマシン(iMac)にコピーしていたのだ。 

しかも……その奥方様の「絶対に消してはいけない仕事の書類」というヤツは、奥方様に「このフォルダ消していいの?」と聞いて「いらない」と言われたフォルダの中にあった。奥方様はその階層構造については興味がなかったらしい(ーー;;; 



いやーー、消えてなくてよかった。本当によかった。

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