機動警察パトレイバーがリメークされない理由とは?

この1か月ぐらい、近くのレンタルビデオ屋で「機動警察パトレイバー」のDVDを借りてきて見まくった。1980年代に作られた作品とは思えないほどのクオリティで、なんでまたこれをリメークしないのか不思議でたまらない。映画版は見たことがあったのだが、あとから見たテレビ版とかOVA版のほうが遥かに面白い。


映画版は……なんというのか、サービスが足りないというのだろうか。いろいろと具体的な言葉で例を出すことは可能なのだが、それを話したら奥方様にいや〜な目で見られたのでここでは出さないことにしておこう。


Web上でいろいろ調査を行ったところ、理由らしきものは見つかったのだが……主要製作スタッフの仲間割れ(キャラクターデザイナと脚本家の夫婦の離婚、メカデザイナーを監督が毛嫌い)ぐらいだろうか。あとは、当時担当していたバンダイの敏腕プロデューサーがいいかげん退職してしまっているだろうし、そういう意味でコアになる人物がないとか。当時OVAシリーズでパトレイバーのビデオが100万本売れたという話なので、リメークしてもそれなりのセールスは稼げそうだが……。


ほかにも何か致命的なものがないかを考えてみた。


そもそも……工事用の人型ロボット(レイバー)が世に広まって、そのロボットを使った犯罪が発生するようになったため、鎮圧のためにパトレイバー部隊が結成されたということになっている。この大前提が成立しないかぎり、話にならない。


まず、工事用のロボットが悪用されるという設定についてだが……現在、実際にダムなどの大規模工事に使用されているKomatsuの大型建設作業車両(車輪の直径が家ぐらいあるクラス)を例にとってみると……GPSですべての車両の所在位置が分るようになっているし、悪用されるようなことがあれば地球の裏側であっても動作を停めたりすることができるようになっている。ふらっと盗んで悪用できるようなものではない。レイバーなんてものが登場するとなると、一般的な工事車両よりも高価になるだろうし、このような機構が組み込まれていて当たり前という話になる。皮肉なことに、地球規模の通信ネットワークの発達が、「工事用ロボットを用いた犯罪」という設定を根本から否定してしまっているわけだ。


次に、そんな大それた工事用ロボットを使用しないとできないほどの規模の新規開発というニーズ自体が(少なくとも日本においては)ない。だいたい、そんな予算を注ぎ込めるような状態でもない。パトレイバーでは、東京湾を干拓して土地不足を解消する「バビロン・プロジェクト」なる大規模工事を前提としてレイバーが作られたことになっていた。だが、環境問題が大きくフォーカスされつつある現在、かような環境破壊はなはだしい大規模開発が行われようはずもない。軍事用に開発……という設定に変えてみても、やはりいまひとつピンと来ない。


バブルまっただ中の1980年代後半〜1990年代初頭当時だからこそ成り立った物語だったのだろうか。ああ、もったいない。

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