ドキュメントとアプリケーションランチャーの中間的なインタフェースについて考察してみた。大量のアプリケーションがインストールされているコンピュータにおいて、仕事や作業ごとに必要なアプリケーションをペアにして起動できるようにしておき、仕事の注意点などのメモを書いておくと……再利用できるし、ノウハウが共有できていいんじゃないだろうか? ちょっと時間を割いて思考実験を行ってみた。
■本質的な進化が見られないアプリケーションランチャー
アプリケーションランチャーというのは、どうしてああ芸がないのだろう? よくよく考えると、ランチャーというのは、登場した後からほっとんど進化が止まっているタイプのアプリケーションだ。アプリケーションのアイコンを順番に並べたりジャンルごとに分けておいて起動する。それだけだ。
たとえば、DragThing。 DragThingのインタフェースは効率的に出来ているし、タブでジャンル分けできるのもいい。だが、他人が使っているDragThingのDockを他人が使って便利に感じるかといわれれば、かなりきつい。個人の趣味や考えをストレートに反映させられるものの、万人におすすめできるわけではない。とくに、習熟度の低いユーザーが使いやすさを感じるというものではないだろう。 たとえば、Dock。 アプリケーションや書類のアイコンを登録しておいて呼び出せる、という機能を超えるものではない。アニメーションを美しく行うとか、そういう方向でエンジニアリング的な努力は行われているものの……作業効率を向上させるものではない。 たとえば、QuickSilver。 効率とかショートカットキーによるアプリケーション呼び出しを重視しているQuickSilver。まるで、Terminalからアプリケーションを呼び出すようなインタフェースであり、Macユーザーはあまり好まないだろうと思っていたのだが、一定のユーザーから支持されているようだ(これには、かなり驚いた)。 ■作業全体を記録して再利用する試み ただ、どれもこれもあまねくあらゆるレベルのユーザーの作業効率を上げるようなものではないし、分りやすいものでもない。比較的、上級ユーザーが使うものであって、初級ユーザーにはピンと来なかったり必要性が感じられないものだったりすることだろう。さらに、割と向き不向きがあるのでユーザーひとりひとりにとって便利なものであっても、誰にでも便利というわけでもない。 ここで考えるわけである。なんで、「作業フロー」そのものというのは書類として保存したり再利用したり、解説を加えてドキュメント化したりできないんだろう? 作業フローの記録だけなら、過去にいくつかのアプローチがあった。まず、UNIXのscriptコマンド。コマンド入力履歴をファイルに記録する。 スクリプトエディタにもRecordingの機能があり、1994年のAppleScript登場当初から利用できた。ただ、Recording対応アプリケーションでなければ利用できなかったので……Finderや(当時の)Excel(バージョン5ぐらい?)ぐらいしか使えなかったような記憶がある。 Mac OS X 10.5ではAutomatorにもRecordingの機能が搭載され、ある程度の記録は行えるようだが………………Automatorのアクション自体がまんべんなく存在しているわけでもないので、どの程度の記録が行えるかは…………ものすごく疑わしい。これも、フルに記録できるのはFinderだけなんじゃないか、と思っている。 ■理想的なワークフロー書類 仕事ごとに書類を作っておき、呼び出して使えるランチャーというのはどうだろうか? 既存のランチャーを置き換える種類のものではないが…… うーーーーーん、試しにKeynote上でイメージ図を作ってみたら、それほどいい感じがしない(汗)
これだと、AutomatorのアクションをGUI的に強化(書類にコメントが書けるとか)できたほうがマシかもしれない。それか、Automatorのアクションを自動生成する機構とか。 もう少し、控えめな概念にして……複数のアプリケーション書類を一括管理できる「ワークフロー書類」というものを作ってみたらどうだろうか?
一見、いい感じもするのだが……機能で考えるとフォルダとさほど変わりばえしない気がしてきた(ーー;;
思考実験では一応の姿を具体化することができたが、まだ何か足りないような感じがする。経験の少ないユーザーでも上級者のノウハウを利用したり共有できる…………といったあたりを落としどころにしたいところだ。まだ、そこまで思考実験では到達していない。