デジカメでブラケット撮影を定期的に行い、その画像をEye-FiでMacに無線LAN経由で転送。撮影した画像をPhotoshopでHDR画像に合成し、プラグインを使ってトーンマッピングを実施。HDR画像から高速ムービーを作成する「高速富士山HDR」の試作品を作ってみた。
高速ムービーに、画像のダイナミックレンジを広げるHDR合成技術を投入することで、動きのある高速ムービーに深みと光の変化など細かな表情をつけることが可能になるものと期待している。次世代の高速富士山テクノロジーである(なんじゃそら、、、)。
単に「風景」という既得権益を自慢する道具でしかなかったライブカメラというものに対し、高速ムービー化することで楽しめるものにした「高速富士山」。90年代初頭、すでにライブカメラは登場していたが、その後ライブカメラは、被写体が増えたりカメラの感度が上がるとかいったように、ただ単に同じコンセプトをなぞるだけのレベルにとどまっていた。
ライブカメラの中には、キヤノンのサーボ制御可能な「操作できる」ライブカメラというものもあるにはあったが、(整備不良で?)動かなくなっていることが多く、「使えないライブカメラ」の代名詞にもなっていた。ほかにも、冬季の凍結により動作不能になるなど、純粋にコンピュータ的な話ではない要素に運用が左右されたり、プライバシー侵害といった新たな社会的問題が発生するにおよんで、ライブカメラの存在はじょじょに人々の記憶の片隅へと追いやられつつあった。
「高速富士山」は、自前でライブカメラの設置および撮影を行うシステムではない。さすがに、オリジナルのシステムでは、自宅でビデオカメラを立ててインタバル撮影を行っていたが、誰もがビデオカメラを持っているわけではないため、Web上のライブカメラから画像を定期的にダウンロードして高速ムービーを組み立てるものへと進化。
実時間の数千倍の高速再生を行うことで、風景の1日の「変化」を記録することに成功したのだった。また、雲がダイナミックに流れる光景は、見ているだけでも楽しむことができた。
「高速富士山」システムのコンセプトをさらに発展させ、ダイナミックかつアーティスティックな風景を提供するシステムに昇華させようと考えていたところ、ちょうど「HDR合成」という概念に行き当たった。
HDR合成した写真から高速ムービーを作ったらどうなるか?
この高速富士山HDRで作った高速HDR合成ムービーを見てしまうと、既存の単なるライブカメラなど原始人の作った石器程度のレベルにしか見えなくなってしまうのではないか……そういう仮説のもとに思考実験を繰り返してきたものだが、ここにきて機材を借りられたりしたので、一気に実物による実装実験を行うレベルに到達。
http://piyo.piyocast.com/download/hdri_pixlet.mov
ブラケット撮影を行ったはずの画像が、なぜか明暗の差が生じなかったので、そこんとこもう一度デジカメ側のセットアップをし直す必要がありそうだが…………
連続で画像を撮影して、随時Wi-Fiで転送を行うのではなく、撮りためたものをWi-Fiで転送するといった方法ではあるものの……とりあえず、HDRの画像合成をバッチで行うAppleScriptを組んで、Photoshopをこづき回して処理した。
もう一度、通しで処理を行ってみたいところだが……MacBookをまる1日占有するような処理は休みの日しかできない(汗)
ムービーのコーデックについても、いろいろ試してみたところ……一番再現率の高いPixletを使ってみることとした。このムービーで1Mバイトないぐらいなのでなかなかいい感じであった。ただ、CPUの遅いマシンでは再生できない可能性がある。