業務系アスリートユーザー向けランチャー? QuickSilver

アプリケーションの起動、というのは実に取るに足らない些細な事柄だが、自分にとっては重大なテーマだ。

自分が提唱している人工知能インタフェース「Newt On」では、各種アプリケーションをコントロールして仕事を行うスタイルを想定している。スケジューラーならEntourageを使うといった具合に。ただし、それが何であるかを具体的にユーザーが意識する必要はないものとして考えている。

アプリケーションが何であるかをユーザーに意識させない、というあたりが1つのコンセプトだ。GUIを次のレベルに引き上げるために、ユーザーに瑣末な作業を行わせない、ということでもある。

だが、実際のところMac OS Xは「アプリケーション指向」ともいうべき構造になっている。何かの作業を行うために、まずはアプリケーションを選んで起動する、という作業が求められる。このため、アプリケーション起動専用アプリケーション(=ランチャー)「Dock」が必ず起動した状態になっており、デフォルトではここにアプリケーションを登録するようになっている。

Dockはよくできたランチャーだが、大量にアプリケーションを登録すれば1つのアイコンの大きさは米粒大にまで小さくなり、使い勝手は著しく悪くなる。多くのアプリケーションを使用する必要がある場合には、Dock以外のランチャーを併用する必要性に迫られることだろう。

自分は、Mac OS 8の時分からDragThingに慣れ親しんでいるため、これをMac OS Xの時代も愛用している。ジャンルごとにアプリケーションを分類し、タブで分けている。


DragThingを用いて、自分は各アプリケーションのアイコンをよく見られるように設定している。アプリケーションの区別を、名前ではなくアイコンで行っているためだ。アプリケーション名を覚えていなくても、アイコンの色や形は覚えている。

また、DragThingではドラッグ&ドロップが使用可能で、登録してあるアプリケーションに対してドラッグ&ドロップをDragThingを通じて行うことができる。あまり急ぎではない用途ではなかなか気楽にオペレーションができてよいと感じている。もっと頻度が高くて緊急性を要する操作(画像をプレビュー.appで開くとか、AppleScriptをスクリプトエディタでオープンするとか)については、別途Finderのウィンドウ上部にアプリケーションを登録しておき、そこにドラッグ&ドロップするようにしている。

いずれにせよ、Mac OS Xはユーザーに緊張感を持たせないオペレーションが身上であると考えている。Mac OS 9の頃よりも、はるかに「気楽に」使っている気がする。

ところが、そういう自分の価値観とはまったく異なるランチャーに遭遇した。それが、QuickSilverである。


これは、いうなればキーボード入力でアプリケーションの名前を入れて起動するランチャーだ。はるか昔に一度お目にかかった記憶があるのだが、オペレーションの流儀があまりに違うのでパスしたのだった。

そして、今日たまたまHossyさんにすすめられて再遭遇したのだが、彼が使っているのを見ると実にスピーディーな操作感である。流れるような操作に感心した、ということもあるが、驚いたのは彼がアプリケーション名をことごとく覚えており、正確にスペルを打って操作することだ。

もちろん、QuickSilverには別名でアプリケーションを呼び出す機能もあり、かならずしもすべての名前をキーボードからタイプする必要はないのだが、それでも名前を正確に覚えていることに感心した。

その昔、DOSやUNIXの文化に慣れず、Macを選んだ自分にとって……コマンドを打って操作するのはちょっと合わない(その割にコマンドを速く打つことは打つ)。

それは別としても、アプリケーションの名前を正確に記憶して、コマンド入力できるユーザーを目にして驚いたのだ。

分析してみたところ、

(1)業務系ユーザーであること
使用するアプリケーションの数はそれほど多くなく、かなり明確にアプリケーションと業務が結びついている。かつ、スピーディーな操作への要求が強い

(2)年齢が若い
自分が、「作業効率を上げるのに、自分のオペレーション速度そのものを上げる」努力を行わなくなったのは、いつの頃からであったろうか。明らかに、自分も若くないのだなという実感を持つものだ。オペレーション速度を上げるのではなく、自分でツールやスクリプトを作る方向で作業効率を上げることが多い。

Hossyさんのオペレーションを見ていると、ほれぼれするほどに速い。実に速い。自分はキーボード打ちは速いほうだが、オペレーション自体はわりとのんびりしているほうだ。

Hossyさんのような種類のユーザーがどのぐらい存在しているかは分らないが、自分が各種アプリケーションを作る際に想定していなかったユーザー層であることが分って、少々焦った。

同僚で、プログラムも組むがオペレーター的な作業を行うMacユーザーに、ランチャーとしてDragThingに近い「机の隅つつき」を勧めたのだが、もしかしてQuickSilverを勧めるべきではなかったろうかと思うところだ。

QuickSilver自体は非常に興味深く、自分が遭遇したことのない種類のアプリケーションなので、もっと研究してみたいところだ。

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