PM-T960には山のようにソフトウェアが添付されている。他社製品ではサードパーティ製品の試用版がてんこもりに付いていたが……EPSON純正のソフトで固めているようである。だが、それがいいことなのかどうかは判断いたしかねる。
あんまりうれしくない理由は、それらがたいへんに時代遅れ感漂う、Coolではないソフトばかりだからだ。
まず、インストーラがダサい。Mac OS Xの標準インストーラーパッケージにしてしまえばよいものを、いちいち不要な説明のオンパレードだ。Installer VISEでインストーラを作るなとは言わないが、インストールの段階でぐったりする。
さらに、インストールしてアイコンのヘボさに具合が悪くなる。なんなんだろう、この時代がかった旧世紀風味のヘボヘボなアイコンの数々は……。
次に、ランチャーに登録してアプリケーションのファイル名にダルくなる。「EPSON DPOF Print for X 1.50」なんていうヘボヘボのファイル名のアプリケーションに辟易させられる。バージョン番号をファイル名に付けてどーすんだ? Mac OS X用だからfor Xとかいうのもダサい。5年前のネーミング感覚だ。
だいたい、「DPOF」が何を意味するのかさっぱり分からないし、その説明も画面上にはない。万事がこんな調子である。もう、当たり前のようにAppleScriptには対応していないのだが、これで対応していたら別の意味でどういう神経をしているのか製品担当のセンスを疑う。
ソフトのウィンドウに配置されたボタンやらのテクスチャーは立体っぽいのだが、これもダサダサでイケていない。ひどい。ひどすぎる。
機能もへぼへぼだ。「EPSON File Manager」とやらで画像の類いを管理して、印刷するようになっているようなのだが、どーーしてわざわざ使い勝手の悪いファイラーもどきを使わなくてはならないのだろう? ソフトを作る側の都合が優先されすぎていて、利用者のことがないがしろにされている。
どこぞの展示会でEPSONのブースに行ってみたら、「最近のデスクトップPCはこんなに小さくなったんですよ!」と、Mac miniよりはるかに大きい不格好な省スペースデスクトップ機を自慢げに紹介されたので「どこが?」と冷た〜く言い返したものだが、連中のセンスはどこかズレているように感じられてならない。
さらに、ドライバ以外はUniversal Binary化されていない。どこぞの年賀状ソフトみたいに、Universal Binary対応のために発売日未定という事態に陥るよりはマシではあるが、添付ソフトウェアはぜんぶRosettaで動作するPPCアプリだ。付属のOCRソフト「読んde!! ココ パーソナル 4.0.7」も例外なくPPCバイナリであった。
PM-T960のハードウェアは間違いなく一流だ。普通紙に高速にキレイな印刷ができる点など、これまでに見たことのないほどの高い完成度を感じる。だが、添付ソフトは一度ぜんぶ捨てたほうがいいぐらいひどい。
PM-T960に対する評価は、
「ハードは一流、ソフトは3流」
まさにそのひとことに尽きる。添付ソフトは仕様書を満たしているのかもしれないが、人のココロを満たさない。感動できない。その仕様書そのものが間違っている。
長野県には有能なMacのソフト開発者が何人もいるので、そういう人たちにお伺いを立ててみるべきではなかろうか。