ことの始まりは、わが家のプリンタPM-800Cが壊れたことだった。このプリンタは、奥方様が結婚前に購入したもので……当時はWindowsマシンとつないで使っていた。いま、わが家からWindowsマシンは一掃され、Macばかり7台ぐらいある。すでにIntel Macの方がPPC Macより多い。
で、このPM-800Cで印刷できないことはないのだが、数枚分印刷しないとプリントアウトに赤い線が入ってしまう。この症状が発症したり治まったりの繰り返し。そろそろ、寿命ではないかという話になり、ついに買い替えという話になった。
私は、ただカラー印刷ができればよいと考えていた。そんなもん、きょうび1万円ぐらいで買える。すでにインクジェットプリンタの技術なんて行き着くところまで行っているものなので、廉価型でも性能的には全然OKのはずだ。
ところが、それに納得しない人物がひとり。PM-800Cの所有者である奥方様その人である。
「えーー、カラーコピーできるの?? それほしーーー!!!」
実家で使っているカラー複合機(PM-A820)の話をしたら、これに喰い付いた。奥方様もどーせプリントアウトしかしないのだろうに、カラーコピーができるということから、そっちにしろと主張したのだ。しかも、
「今日は友達と飲み会だから、買っといてね。よろしくぅ!」
おいおい、私1人で買いに行かすんですか(汗)。機種選定も任せるよとか言いつつも、複合機にしておかないと後で何かと揉めそうである。
たまにしか使わないんだから、高いの買って後悔するより安いので手を打っておいたほうがコストパフォーマンスはいいと思うのだが……。
まあいい。どうせ夫婦で半分ずつ出し合うんだから1人で安物プリンタを買うのと大差はない。個人的な好みにより、毎回エプソンのプリンタをチョイスすることにしている。現行ラインナップでエプソンの機種のみ比較してみた。
■PM-A840
最近のラインナップ中のおすすめモデルだとか。市価2万円を余裕で割り込むぐらいの値段で売られているようだ。ただ、スキャナが1,200dpiで、手持ちのカラースキャナと性能的に大差ない。ネットワーク接続がオプションというのもおっとっとである。こいつはパスだ。
■PM-A990
奥方様は「ハイエンドユーザー」を自負しているので、最上位機種という響きにイチコロだ。そんな奥方様のためにあるような機械。スキャナの解像度が4,800dpiもある。同社の家庭用複合機の最上位機種にして最高峰。無線/有線LAN標準搭載。おまけにCD/DVD-Rドライブまで内蔵しており、媒体の内容およびレーベルのコピーが可能とかいうおっそろしい機能まで持っている。でも、パソコン本体でやればいいものをそこまで「たかが周辺機器」に持たせるのもいかがなものか。市価で4万円ぐらいする。
■PM-T960
無線/有線LAN標準搭載で市価3万円を切るぐらいという、性能と価格のバランスがとれている優等生モデル。最上位機種が発売から2年近く経過しているのと異なり、こいつは今年の10月に発売されたばかりだ。プリンタまわりはA840と変わらないが、それは最上位機種のA990とて同じこと。スキャナ解像度は3,200dpiで……まあ、これだけあれば普通は困らないはずである。
そんなこんなでPM-T960にした。広々とした店内と、時折登場する驚愕プライスの在庫処分品がナイスな池袋のLABIヤマダ電機へ。
店員「お持ち帰りになるんですね???」
私 「はい」
店員「けっこう……重いですよ?(笑)」
私 「14kgですね? 持ち帰ります」
店員「いろいろ入っていますので……15kgぐらいにはなりますが……」
私 「大丈夫です持てますし持ち帰ります問題ありません」
店員「そうですか。ご用意いたします」
……とかいったものの、店を出るまでは片手で持っていたが、腕が抜けそうだ〜。自宅にある20インチのiMacより重いのかこいつは〜。
重さに耐えかねて、プリンタの箱を肩にかついで池袋の雑踏を歩いた。冬なのに汗でびしょびしょだ。奥方様もいないし、1人なのでカバンや上着を預けることもできない。しかも、片手にヘッドホンまでブラ下げている。でかいのでバッグにしまえないのだ。片手だけでこれを運んだ自分をほめてあげたい。
池袋で電車に乗ったときの肩身の狭いことったらなかった。イスに小さくなって座っていたが、プリンタの凶悪なまでに巨大な箱がどどーーんと車内の通路に存在感を主張している。こんな凶暴なまでにでかい箱の製品を販売してよいものか、というぐらいでかい。エスパー伊東以外でも、ふつーに大人が入れるぞこの箱は。
プリンタが大きいことは理解していたので、置き場所の心配をしていたのだが……本当は持ち帰る心配のほうをすべきだったのだ。翌日筋肉痛にはならなかったが、帰宅してプリンタの梱包を解いたところで疲れて床に転がって放心状態。その日、設定は終わらなかった。
わが家の年賀状の行方は一体……