OmniPlan 1.1でScriptingが強化されたと聞いて

MacNNでOmniPlan 1.1のAppleScriptによるScripting機能が強化されたというニュースを読んだ。国内のニュースサイトだとまったくこーゆー伝え方はしないので、やはり海外サイトばかり見ることになる。


強化されたといっても、目下Mac界で最強のScripting機能を備えるプロジェクト管理ソフトは、Merlinだ。OmniPlanはMerlinが登場するまでは「最強」と言ってよい存在だったが、すでにMerlinしか眼中にない(ユーロ建てで買わなくてはならないので、ちょっとお高いのがタマにキズ>Merlin)。

project

OmniPlanが1万円ちょっと、Merlin/iTaskXが2万円程度の価格帯にいるのに対し、FastTrack Scheduleが4〜5万円台に位置している。広い導入実績を持つFastTrack Scheduleの市場を後発のソフトが追いかけている、あるいは住み分けのために展開しているというのが現状だ。超ローエンド層はiCalとか、あるいはEntourageでタスク管理といったころだろうか。Leopard登場時にはこれにMail.app+iCalの組み合わせが加わる(Entourageつぶしのポジション)。

Merlinが各種言語向けにローカライズされて、値段をほんのちょっと下げたらOmniPlanは市場から叩き出される危険性に直面している。比較的低価格のプロジェクト管理ソフトウェアの市場において、OmniPlanはいまだ絶対的な優位を築くには至っておらず、MerlinやiTaskなどの割と完成度の高いプロジェクト管理ソフトとの競争に常にさらされている。機能アップはOmniPlanにとって至上命題といえるだろう。

とはいうものの、OmniPlanがどの程度強化されたかも気になるので、AppleScriptの用語辞書をHTMLに書き出し、Apple純正diffツールの「FileMerge」で変更内容を調べてみた。

diff1

diff2

辞書ファイルの相違点は177箇所。うち、4分の3以上は些細な辞書中の文字の変更であって、実際に機能アップにつながっている点は20箇所以下だろう。

以上の事実から考察するに、「それほど強化されたわけでもない」という印象。Export時のファイル種別が増えていたりするが、まあその程度だ。タスクやリソースを階層的にアクセスするオブジェクトが新設されたりもしているが、これをもって「大幅な強化」というにはほど遠い。

OmniGroupのソフトウェアは、First Release時のインパクトが一番大きくて、後から行われるアップデートは泥縄式のバグつぶしという印象が強い。そういう開発スタイルなのかもしれないが、ニーズを汲み上げ切れていないように見える。OmniPlanが絶対的な優位を築けるかどうかは、どれだけ他のソフトを凌駕する価値観を提示出来るかどうかにかかっている。

割と、「こまかいところ」に目を奪われて、そうした価値観の提示までには至らないのがOmniGroupのよくない点である。このままでは機能面でMerlinを抜くのは難しいだろう。

■後日談

よくよく調べてみると、一番マーケットで危ないポジションにいるのはiTaskXだった(ーー; キャンペーンで価格を半分に下げて1万円ちょっとのポジションに降りてきていた。

そのままプロジェクト管理ソフトに入力させるのはあまりフレンドリーではないという分析がなされているためか、ほとんどのプロジェクト管理ソフトがアウトラインプロセッサ(OmniPlan)や、マインドマップのソフトウェアと連携するのが最近の流行りである。AppleScriptに対応していないiTaskXは、そういう展開もできずにいるため、かなり不利なポジションにいるといえよう。

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