繰り返して説明しているが……プロジェクト管理ソフトは、自らの内にプロジェクト管理が破綻する要因を含んでいる。
プロジェクト内の各タスクの進捗管理が「80%ぐらい」といった、プロジェクト管理を行う人間自身によるひじょーに恣意的かつ主観的かつ情緒的な数値をよりどころとしている点である。
このため、上手なプロジェクト・リーダーが使えば、さまざまな難局を事前に予測し、きつすぎず緩すぎない勘所をおさえたプロジェクト管理が可能であるが……未熟でへったくそなプロジェクト・リーダーにはそうした経験や知恵がないので、使うことで余計に失敗する確率が上がってしまうのだ。
進捗管理表の清書やら装飾といった、プロジェクト管理本来の「本質」ではない機能が重視され、その本筋に対してエンジニアリングが行われていない今日のプロジェクト管理ソフトは、「現場の知恵」がいまだ十分にフィードバックされていない、原始時代のレベルのソフトウェアだった。
だが、Mac OS X用プロジェクト管理ソフトウェア「Project X」に出会って、その見方を変えなくてはならないと強く感じるようになった。まだ荒削りで、AppleScriptに非対応のソフトではあるが、それは決してProject Xの魅力を損なうものではない。Project Xはプロジェクト管理の暗黒の荒野に光をもたらすものになるかもしれない。
Project Xはこの手のソフトとしては例外的に完成度が高く、プロジェクトが破綻しないための知恵とでもいうべきものが、どうやらプログラムコードとして実装されはじめたようだ。「次元の異なる存在感」を有している、というべきだろうか。
Project X登場以前のプロジェクト管理ソフトと、Project X登場以後のプロジェクト管理ソフトでは、その意味合いがまるで違うものになってくるに違いない。
既存のプロジェクト管理ソフトでは、あくまでも「紙の予定表」をメタファーとしており、きわめて寡黙な存在であった。よくて、iCalと連動してスケジュールの期限を通知したり、他のアプリケーションをキックする程度であった。
Project Xでは、各タスクを細分化してToDoのレベルに落とし込み、日々行うToDoが済んだか/済んでいないかによって進捗を計ることができる。
このあたり、まだ分析やら使い込みが進んでいない段階ではあるが……久しぶりに「大物」に遭遇した感じがする。
最終的な結論を出すまでには、もう少し評価が必要になるかもしれない。ただ、ダウンロードして実行してみると「こいつはヤルかもしれない」という片鱗が感じられるはずだ。