Inspiration Softwareといえば、はるか10年以上前からマインドマップ的なソフトウェア「Inspiration」を出していたことで有名なソフトウェア・メーカーだ。Mac OS 7とか8の時代にInspirationによくお世話になった気がする。
その後、InspirationはMac OS Xへの移行が遅れまくり、さんざん待たされて出てきたInspirationのMac OS X版は……Windows版と同一ソースからビルドしたとおぼしき、とっても使えないクソソフト。英語で表現するなら「ファッキン・アプリケーション」になってしまったのだ。
さまざまなソフトの歴史をひもといても、Inspirationほど完成度が落ちたソフトも珍しい。ソフトそのものが使い物にならないシロモノになったし、なんといっても多言語対応なんて言葉は見たことがないほどにWASPだけ使えればいいじゃん的なヤンキーなソフトになった。日本語入力はおろか表示すら行えなくなったのだ。
その後、Inspiration Softwareは子供用のKidspirationなども出しているのだが、例によって日本語入力など眼中にないシロモノである。日本国内代理店(であるはず)のスリースカンパニーのWebサイトなどを見ても、すっかりアレでナニな状態になっているので、もはやコメントはおろか見る者の失望を指数関数的に増加させないためリンクすらためらわれるところである。
「落ちぶれる」「堕落する」という刺激的な表現がこれほどぴったり合う存在はないのではないかというほどのInspirationだが、本日DMでやってきた見慣れない名前のソフトが気になった。
「InspireDataだと?」
罵倒するにしても相手のことをよく理解しておかなければなるまい。いやいやながらにInspiration SoftwareのWebに行って、フォームに個人情報をぽそぽそと入力し、へろへろと30日間試用版をダウンロードした。
Inspiration Softwareの経営陣や開発者、あるいは日本国内総代理店の存在を知らなければ、「ワンダホー!」と絶叫してしまうほどのソフトウェアであった。
各種統計データをビジュアル化して、グラフにして見せるというソフトなのだが、縦軸や横軸の項目を変更するとその切り替わる様をアニメーションで見せてくれたりして、言葉で表現するより動いているところを見せたほうが遥かにいいだろう。
素晴らしい。日本語が入力できなくて、国内総代理店のやる気が皆無で、AppleScriptに対応していないソフト(通常はゴミ箱行き)なのに感動できる。
世界の国別人口統計や、アメリカ・メジャーリーグの選手の年俸統計などをぐりぐりいじくり回して、時のたつのも忘れるほどであった。
こんなソフトが小学生の頃にあったら、授業そっちのけでかじりついていたに違いない。これがたったの79ドルだと? 今日中に買ってしまいそうで怖い(ーー; ただ、サンプルはともかく自分が分析したいデータを思い通りにぐりぐりいじくるのには「慣れ」が必要な気がする。
ソフトウェア分類学的に言えば、ビジュアリゼーション・ツールであると同時に超小型のOLAPとかData Warehouseの類いであるとも言えるかもしれない。大量のデータを喰わせたときにどのような挙動を行うのか分からないが、なんでも…………オンラインで統計データ(OECDの統計資料か何か?)をダウンロードして利用することもできるとかで、統計分析マニアにはたまらないところだろう。