新iMacの予想は、絵に描いたような大外しであった。だいたい、少しはかすったりはするものだが、これによってiMacに対する認識がものすごくズレていたことが明らかになった。
ズレたらズレたで、その原因を明らかにすればいい。そうすれば、「この次」は外さないだろう。
まずは、iMacという商品の特性を見直してみることとしよう。
iMacは家庭用のリビングなどで使うことを期待して作られたリビングコンピュータだ、と今でも思っていた。実際、ウチではそのように使っている。だが、この認識はどうやら違ったようだ。
実際には、プロ向けのローエンドマシンといった趣きで、Appleのラインナップの中でも上位機種向けのFireWire 800のポートが装備されたことからも、プロ層の要望を受けて「少々値段が上がってもいいから」装備されたと見るべきか。または、MacBook Proと使用している周辺チップが同じで、たまたま機能を持っていたので実装したと見るべきか……Leopardのバックアップ機能「Time Machine」を快適に使うための布石、と見ることも可能だが……。
私はiMacのことを、全ラインナップ中で一番「新しいことにチャレンジできる」ポジションのマシンだと思っていた。だが、これも違ったようだ。
だいたい、ビギナーやライトユーザー、Windowsからのスイッチャーの受け皿として始まったiMacシリーズであるが、今日そうしたユーザー層の受け皿となっているのは、間違いなくMacBookだ。値段も手頃だし、持ち歩ける。一般のユーザーがデスクトップマシンをわざわざ所有する必然性が、強烈に薄れてきているのだろう。
逆に、全ラインナップ中で一番冒険ができない保守路線はMacProだと思っている。堅実に、ついている必要のあるものがついていることが求められる。どうやら、iMacもそちらの側のマシンになったようだ。
予想を行うにあたって、iMacの新製品に課せられたメッセージを「デスクトップPCの否定」「新しい価値観の創出」というあたりに置いてみたのだが、実のところはバリバリの保守路線だったというわけだ。
また、分析のための区分けにも問題があるのかもしれない。1996年におJobs様がAppleに復帰して、「Home」「Pro」「Portable」「Desktop」のマトリクスで製品を再定義したので、それがずーーっと頭に残っているものの、すでにそんな枠組みは過去のものとなり、割とドーでもいい話と化しているとか。
ノート(安)、ノート(高)
デスクトップ(安)、デスクトップ(中)、デスクトップ(超高)
という程度の区切りでしかない、とか。 iMacに与えられているメッセージは「オールインワンのスタイリッシュな省スペースデスクトップ」であって、その枠組みを超えるような製品は出さない。超える場合には、別の製品名が与えられるといったあたりが妥当かもしれない。
だいたいこのあたりまでおさえておけば、次の展開を読み間違えることはないだろう。