夫婦の共通の話題選びというのは難しい。知らない人物の名前がなんの前振りもなしに登場すると腹がたつし、難解な技術用語は一切使わないように気をつけている。専門用語を声高に連呼するなんていうのは私の美学に反することなので、それだけは絶対に避けなければならない。
自分は基本的に職場の話を自宅でしない主義だが、奥方様は職場の話ばかりするので、「朝から晩まで仕事の話をすんじゃねえ!」と定期的に私に怒鳴られ「職場の話禁止令」が出ることもたびたびである(そして、それがいつの間にか有名無実化するというループ)。
仕事も育った環境も価値観も違う。そんな夫婦間で共通の話題などあるのだろーか、と真剣に悩んだ(ように見えた)時期もあった。そもそも「結婚するなら同業者以外で」「職場結婚だけは嫌」という私の方針が生んだ当然の結果ではあるのだが、それにしても共働きで職場の話題しかないというのはひっじょーーに生活にうるおいのない状態である。
だが、意外なものが共通の話題になることが判明した。奥方様はややマニア屋さんの気(け)があって、アニメにハマるのである。それも、尋常ではないほどにハマりまくるのだ(汗)
もちろん、この私がチョイスした名作ばかりを見せているわけだが、Zガンダムの映画は第1作こそ私一人でこそこそ見に行ったものだが、そのDVDを見て「次は私も連れていけ」と奥方様。結局、最終作まで一緒に見に行くことになった。
奥方様が強烈にハマったのが「プラネテス」と「攻殻機動隊」だ。とくに、攻殻機動隊の公安9課のドライでありながらも熱い人間関係にハマり、「こーゆー上司の下で働きたい」が口癖となる始末。
とーぜんガンダムも何回見たか分からない。ただ、これらはもはやお子供向け作品ではなく、オーバー30代の「おおきなおともだち」向け娯楽大作である。「フルメタル・パニック」も3作すべてDVDを借りてきたし、何度も見直した。その影響で京都アニメーションの作品に興味が出て、当初は嫌がっていた「凉宮ハルヒの憂鬱」もクリア。
そして、最近の超スマッシュヒット作「創聖のアクエリオン」をきっかけに、河森正治監督作品にハマり、マクロスシリーズを、マクロスゼロ→初代劇場版→マクロスプラス……と、いま歴史順に見ているところだ(マクロスセブンは失望が大きいので見せない予定)。
だが、夫婦の共通の話題のベースを確認できたまではよいのだが、それを電車の中でされると困るのである。
最初に困らされたのは「ミノフスキー粒子ってどんな粒子?」と、真剣な顔で聞かれたことである。んなもんあるわけないじゃないか(汗) 奥方様はすぐに見た作品に影響されるので、職場でアホな話が出ると「でカルチャーだ!」とか叫びかねない危険性を持っている人物でもある。