ふもっふ式くじびき

職場のレクリエーションイベント向けに、くじびきを作ることになった。景品はiPod shuffleを14個用意。コストがかかっていない割には、景品の多さもあってちょっと盛り上がりそうであった。


しかし、それだけでは物足りない。


そこで、摩訶不思議な「フルメタルパニック?! ふもっふ」最終回(五時間目のホット・スポット)のくじを実現してみようと思い立った。


たかが「くじ」で何が不思議か? 


ふもっふのくじは、「あたま」「あたりめ」「あたらしい」「あたたかい」などの「あた」で始まる単語ばかり出てくるようになっており、「あたり」以外はすべて「ハズレ」。この単語リストについては問題なかった。こんな日が来るかもしれないと思って、1年ぐらい前から単語の収集を行っていたからだ。すでに40ワードほどの蓄積があった。プログラミングなんて、いつも「もしかしたら」に備えて調査や基礎実験を行うものなので、プログラミング以外についても地道かつ周到な(くだらない)下準備を行っている。


ふもっふのくじに話を戻す。さらに不思議なことに……このくじはかならず文字が読めるように出てくるのだ。アニメだとそれでも不自然さは感じなかったが、リアルにそれを実現するためのシステムはどのようになるものか? 私はひじょーに悩んだ。


この「くじ」を作ることを社内の準備委員会ML上で宣言し、フルメタのYoutubeに上がっている映像のURLを投稿しておいた。



これにデザイン部の女子が「ぜひやりたい!」と食いついてきたので、彼女と実現のためのシステムの検討に入った。


さまざまな方法が考案されては消えていく中で、ポストイットを箱の床の部分に貼っておくのがよさそうだという話にもなったのだが、自重によって重力方向に折れ曲がってしまうことが予想され、常に上に向いておくようにするのが困難。



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そこで、箱の床に自立するような方向で改良を加え、ついに、


 「床の部分に発泡スチロールなどの柔らかい素材を敷いておき、そこにつまようじを差す。つまようじをポストイット2枚ではさみこんでくじの本体とする」


という手の込んだ方式に落ち着いた。デザイン部の彼女が「絶対にやります!」と請け合ったからである。なんか、あなたの方が入れ込んでいやしませんか?(汗)


くじの色については「白」以外は考えられなかった。これは、ビデオ撮影を行ってQuickTimeムービーなどに圧縮した場合にでも、コントラストが強ければ少ない画素数になってもしっかり判読できるからだ。


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ふもっふのくじで不思議だったのは、視聴者側に文字が見えつつも、反対側のくじを引いた人間にもその内容が見えているらしいことである。これは、表裏両面に同一内容を書いておくことにした。私が仕上げ段階でこれを行う。


もうひとつ実現しておかなくてはならないギミックがあった。


ハズレ中のハズレ「あたたたたたたたたたたたたたたたたたぁ!」という長い紙が出てくるようにすることである。


これは、デザイン部の女子がとくに「絶対にやる!やるったらやります!!」と気合いを入れていたので、くじ本体と、オプションの長いくじの仕込みについては彼女に任せた。長いくじに関して、当初は2枚の長い紙を貼り合わせた構造になっていたのだが、シミュレーション段階で箱の中に入れたときの収納性に疑問がついたため、足の部分の長い紙は1枚のみに変更した。


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一方、社内で段ボール箱を拾ってきて、くじの箱を作成。入り口の部分には伸縮性に富んだ紙を別途用意し、切り込みを入れることでそれっぽいものとなった。内側から貼り付けているのだが、60人近い人間が手を出し入れしたときの耐久性に疑問が残ったため、入り口の紙は3セット用意し、交換できるようにしておいた(結論からいえば全然大丈夫だった)。


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土台の部分に使う発泡スチロール材は、少々固めのブロック状のものだった。事前に数値シミュレーションを行って、縦横20cmそこそこの小型の箱の底面にくじがすべて収まることが分かっていた。逆に小さめの発泡スチロール材を見つけてくるのが大変だったらしい。


このブロック状の発泡スチロール材を適度な大きさに切って、並べる必要がある。そこで、備品のカッターを持ち出してライターの火であぶり、発泡スチロール材を熱で切った。職場にガスコンロ等がなかったので、いい年こいたおっさんが自席でライターを使って火遊びをしていたわけだ。


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当日のイベントの数時間前になってようやく素材がそろったので、人目につかない場所で組み立てを行った。実戦投入してみたところ、中央部分へのアクセスが多く、外周部にまでは手が届いていないようだった。4ブロックとも均等に「あたり」を配置して場所による偏りを排除しておいたが、あたり景品は残ってしまい、じゃんけん大会で配分することになった。



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ほぼ中央に、最大の仕掛け「あたたたたたたたたたぁ!!」がセットされている。長い足の部分は蛇腹状に折り畳んでセットしておいた。もう1つ、外周部に「くり」を仕掛けておいたのだが、残念ながらこれは手が届かなかったようだ。


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テスト組み立て中の様子。上箱をかぶせて稼働状態になる。


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「ふもっふ式くじ」稼働中の勇姿。


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