奥方様の勤め先の新しい上司が、部下である奥方様とうまくコミュニケーションがとれず、彼女の「性格診断」をさせてほしい、と言ってきたのだという。
「おいおい、それって相性診断と違うんか?(汗)」
と、とっさに切り返して奥方様の笑いを誘っていたが、「その切り返しがすぐに出てくれば〜。くやしぃ〜」と悔しがっていた。奥方様は家では超のんびり者のこたつむりだが、本人いわく職場では脳みそのスピードが数十倍速くなるらしい。私はその勤め先の姿は見ていないので、いつもの、こんなのどかでのんびりした姿しか知らない。
そこで奥方様に、
「君は、自分で自分の性格をひとことで言い表すとしたら、どういう言葉がふさわしいと思うか?」
と、聞いてみたら予想外の返事が返ってきた。
奥方様:「んーー、『コケティッシュ』かな」
奥方様は自分の知らない単語に、なんとなくフィーリングで意味をつかんで自分独自のミーニングで使っていることが……たまにある。知らない単語があっても言語を運用できる適応能力は素晴らしく、さすが京都外大出身! などと感心することがままある。これは、外国語の習得や運用には強力に働く能力と思われるが、日本語でやっちゃいかんだろー(汗)。というか、そもそも奥方様は英語が不得意なのだった。
……………………あなた、それ外で他人に自慢して言ってたりしないよね?
奥方様:「えっ?! うん、まあ……いってないよ」
頭を抱えつつ、それって「エロい」(巻き舌で力強く発音)ってことなんですけど、と説明すると……にわかに不機嫌になる奥方様。どうやら、からかわれているものと思ったらしい。
しかし、MacBook Proをスリープ解除してDictionary.appで意味を調べ(このへん、Leopardをよく使いこなしている)、
奥方様: 「…………あっ!!!!(絶句)」
ぼけ〜〜!! 「あたしはエロい女です〜」って自己紹介するヤツがどこの世界におるんじゃー?! と、畳み掛ける。言葉を失う奥方様。
私は、圧倒的な勝利を確信し、この不毛な戦争を集結させるための最終兵器を投入することを決意した。
「おまいは、コケティッシュではなく『ポケットティッシュ』の女じゃ〜!!」
言葉自体に意味はないが、とってもお安くて親しみやすいイメージを喚起されたのだろう、頭を抱えて布団にもぐりこむ奥方様。たいへん恥ずかしかったらしい。
深夜にもかかわらず、(私の)高笑いが響きまくるわが家。
かくして、心にふか〜いダメージを負った奥方様は、さらに翌日から「ポケットティッシュの女」と呼ばれ追い打ちをかけられるようになったのだった。