食通の同僚からの情報によると、中村橋にヌクムクというおいしいパン屋があるのだそうな。
家から自転車で10分もかからない距離にあることが分かった。中村橋駅まで行って商店街を抜けて目白通りを渡って2軒目、ということだけ頭に入れればすぐに着く。
店のたたずまいは、パン屋のそれよりもケーキ屋に近い。パン屋にありがちなメラミンのお盆が置いてあるわけでもなく、カウンターのおばちゃんと対面販売といった風である。売り場の面積は狭く、店の大部分を製造のためにあてている。
「穀物感」を重視する自分はくるみのパンが欲しかったのだが、いまは作っていないのだという。穀物感の強そうなパンを選び、できたての何種類かのパンを選び……フランスの映画にでも出てきそうなバケットのパンを買った。
ひとつひとつがそれほど高価ではないため、それでも1,000円ちょっとだ。駅前のパン屋なら確実に1,800円コースだろう。
商店街を自転車で突っ切って、途中でなじみのコーヒー屋をみかけ、コーヒー豆を買って帰るべきか悩んだが、いただきものの季節限定コーヒー(ネスカフェの「FRAGILE」。インスタントとは思えない味がする)がわが家で待っていることを思い出し、後ろ髪引かれつつ帰宅。
ちょうど体調不良で休んでいた奥方様を叩き起こし、コーヒーを入れてパンを食する。
ものすごい穀物感である。ゴマがかかったレーズン入りのパンを食したところ、さほど大きくないのにものすごいボリウム感と穀物感である。自分は好きなタイプだ。歯ごたえが強く、なかなか食べ進められないのだが、クセになる感じだ。
その他、情報によればオレンジショコラが評判とのことでそれも食べてみたが、これもぜんぜん世界観が違う。少しやわらかめなのだが、パン生地の構造がしっかりしていて容易には崩れない。最初に食べたレーズンパンのインパクトが強すぎて、ほかのパンの採点は辛くなる。
ここのパン屋は穀物感のある固めのパンが好きな人にはたまらん店にちがいない。いろいろと具を載せた調理パン系のものは、必要に迫られて作ったのだろう。バケットとか食パンのほうが驚かせてくれることと思う。
たくさん食べたのに、食後感は満腹というよりも爽やかな感じですらある。このような食後感はなかなかない。食べても食べても食べ進められるような食後感というのだろうか。
奥方様にはちょっと合わなかったようだが、こんどは食パンでも試してみることとしよう。その前にバケットがあったか。
めでたく、ヌクムクは私の名店リスト入りすることになりました。
■自分の目と舌で選んだ中村橋名店リスト ・ケーキ屋「プロスペール」 http://r.tabelog.com/tokyo/rstdtl/13041838/
・蕎麦屋「玄蕎麦野中」 http://r.tabelog.com/tokyo/rstdtl/13002725/
・コーヒー豆屋「まめせん」 http://www9.plala.or.jp/coffee/jika/tokyo/mamesen.htm
・自然食派パン屋「ヌクムク」
http://nukumuku.sakura.ne.jp/