Mac OS XのApple純正開発環境であるXcode。まだ彼がProject Builderと呼ばれていた昔から、とてもとても不思議なメニュー項目が存在していた。そして、それは今でもある。
それが、「すばやく開く」である。英語環境に切り替えてXcodeを起動すると「Open Quickly」なのだとか。
だいたい、ファイルやらプロジェクトをオープンするのに「すばやく開く」とは何事であろうか。Project Builderを使い始めの時分にはひどく気になった。
ものすごく高速にファイルをOpenするのだろうか? そうすると、いつもファイルを開いているやり方は実はひどく損なやりかたなのか? だいたい、そんなエキセントリックな機能があったとして一体どう使うというのか。
何かとても納得できないものを感じた私は、そのメニュー項目を無視することにした。だいたい、AppleScriptでプログラムを組むだけなら、Project BuilderにもXcodeにも「用のないメニュー項目」「知らなくても問題のない機能」が山のようにあり、無視する機能の記念すべき第1号認定がこの「すばやく開く」であった。
その後、「あっても使わない機能」が大量にあることに気付き、効率よく不要な機能を無視してプログラムを作るようになったが、気合いの入っていることに、実に一度も「すばやく開く」を実行したことはなかった。
今日、たまたまそのことを思い出して、実行してみたのだが…………
ファイルへのパスをキーボードから直接入力して開くための機能のようだ。実に不必要なことこのうえない。なんで、これが盲腸よろしくメニュー項目に残っているのか、さっぱり理解できずにいる。
後日談:
Objective-Cプログラマの友人たちの親切な助言により、これが本来「パスを指定して開く」という日本語が割り当てられるべきメニュー項目であることが分かった。プログラム中に記述されているヘッダーファイルの名称を選択して実行すると、そのファイルをオープンするという仕様でもあるようだ。
……それにしても「すばやく開く」はひどいだろう、ということで意見の一致を見た。こんなメニュー項目には知性のカケラも感じられない。Appleはこんな日本語訳をメニューに残していることを深く恥じるべきだ。