子供にまざって遊ぶ大人げないブラザーズ

久しぶりに春分の日に墓参りに行った。ここのところ、長らく墓参りに行っていなかったのだ。

その結果、姪っ子甥っ子たちが勢揃いして、実家はたいへんな賑わいに。

最近の子供たちはなかなか外で遊ばせてもらえず、実家に来たときには……周辺の交通量が少なく、大人が大勢いるため目が届き、遊ぶのに適した場所がいろいろあるので、外で遊ばせてもらえるのだ。

日頃どれだけストレスを溜め込んでいるんだか、想像を絶するものがあるが……もう河原へ連れて行けばはしゃぎまくって水遊びを、広い公園に連れて行けば大声出しまくって走りまくる。おまけに道路を全力疾走! 追いかけるこちらも年々本気で全力疾走せざるを得ず、子供たちを遊ばせるのは「ちょっとした運動」どころの負担ではないのであった。

だが、「遊びにつれてってくれ〜」と目で訴える彼らの気持ちを無視できず、遊ぶことになるわけである。

それで、最も身近な公園に連れていくことになった。それほど広くもないので、遊ばせておくにしても、車や不審者などの接近に対して周囲を警戒するにしても簡単だと踏んだからだ。

連れて行こうとすると、すぐさま公園に全力疾走する姪っ子。何かあっては弟夫婦に申し訳が立たない。焦って後を追いつつも、周囲の車の動きをチェック。実に神経を使うものである。

ほどなく公園に到着。近所の子供が元気よく遊んでいるのだが、なぜか女の子ばかりだ。しかも、かーーなり激しくボールを蹴ったり走り回ったりしている。聞けば、男の子も遊んでいないではないのだが、隅の方でゲームをしている程度だったりと、完全に「女子優勢」なのだそうな。

女の子たちはとにかく元気。ボールを蹴ったりなんだりで、もーよくも悪くもメチャクチャである。バレーボールをしようとか、そういうルールのようなものはないらしい。遊び方を知らない、というべきなのだろうか。

とはいえ、お仕着せのルールや枠組みを子供たちに当てはめるのも可哀相だし、好きにさせていた。……が、人数だけ集まってもなかなか「遊び」というレベルにならないので、仕方なく先に公園に来ていたウチの弟、つまり姪っ子たちの父親(35)が……「中当てでもする?」ということに。

最初は自分も隅の方で見守っているだけのはずだったのだが、いろいろ口を出しているうちに、地元の子供たちに囲まれて一緒に遊ぶ羽目に。自分(38)もいい年なのだが(汗)

四角いコートではなく丸いコートを書き始める女の子たち。公園の真ん中でもうもうと土ぼこりをあげながら……なんかとてつもなく小さなコートが出来上がった。回りに鬼が二人いて、中に入っている子供たちにボールを当てるというルールがなんとなく了承された。

弟(35)と二人で鬼になって、子供たちにボールをぶつける大人げないブラザーズの完成である。もちろん、手加減はバリバリに行っているのだが、そこはもう、それなりにいろいろとサービスもするわけである。

  「きゃははははは、へんな顔〜!!!!」

ボールを投げるときにする顔芸にウケまくる女の子たち。大喜びだ。

しばらくそんな調子で遊んでいると、こっちが遊んであげているんだか、小学生の女の子たちに遊んでもらっているんだか分からなくなってしまう。しまった、そんな薄着もしていないし汗びっしょりだ。通勤に使っている靴が土ぼこりで見る影もない。息もあがってボロボロである。

  「オレはもう限界だ。後はよろしく〜!!!」

と、弟(35)に後をまかせて実家へと帰還。

しばらくして、義理の妹……つまり、姪っ子たちの母親に「そろそろ弟をピックアップしてあげてくれ〜」と依頼。

公園にやってきた母親の顔を見るなり、この世の終わりのような表情になる姪っ子たち。聞いた話の範囲でも、母親が絶対権力者として彼女らの上に君臨している様子がよく分かった(汗) いや、物騒な世相を反映してそうならざるを得ないというのは十分によく分かるのだが、なるほどと納得する以上のものがあった。双方ともに可哀相、といったところか。

そして、父親である弟も一緒に帰ろうとしたら、地元の女の子たちから「え〜、なんで帰っちゃうの〜?」とのブーイング。「いや、この子たちの父親だから一緒に帰るんだよ。ははは」と言ったとか言わなかったとか。弟、大人気である。

現代の子供たちはたいへんに抑圧されて、遊んでエネルギーの発散もままならないままに日々を過ごしているのだなぁ、と思い知った次第だ。健全な方向でその持て余しているエネルギーを発散する方策を、彼ら自身が見つけられるとよいのだが…………そろそろ、学校で「遊び方」とか「友達の作り方」といった教育をしなくてはならないのだろうか。悩み多い時代である。

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