AppleScript界の超有名人、おフランスのSatimage Softwareのエマニュエルのおとっつあんが進めていたプロジェクトがようやくお目見えした。
NDAを締結しないと内容を明らかにしてくれないというほどのヤバいブツとは何なのか、エマニュエルのおとっつあんから聞き出すことはいままで出来なかったが、今日のアナウンスによってようやく明らかになったわけだ。
それが、Quomodo。んーー、Quomodoっていわれてもなんだかよく分からないぞ。
そこでQuomodoのサービスにアカウントを作成し、試しにログインして、これが何であるのかを見てみることにした。
Quomodo自体は、Wikiのようなものらしい。SNSといってもいいかもしれない。ただ、個人の日記を書くようなものではなく、グループで情報を共有するような種類のものだ。見た目はスティッキーズのWeb版といったところか。メンバーの個人情報を掲載しておくとか、そういうのはない。単に「場所」を提供することに専念するようだ。
もっとも基本的な機能はスティッキーズタイプの共有メモということらしい(ノートと呼ぶべきか?)。一度削除しても、サーバー上でバックアップしているらしく、復活させることもできるらしい(完全に証拠隠滅消去する、という概念はなさそう)。
さらに、「スマートノート」という仕組みを用意しており、JavaScript+CSSによるWidgetも利用できるようだ。このスマートノートはQuomodoのサーバー側に配置される。スマートノートを公開するには、Quomodoのサーバーにアップロードする方法をとるようだ。
スマートノートのフルスペックのサービスを作るためには、
AppleScriptかJavaScriptでサービスを記述する
のだそうだ。もちろん、そいつらはQuomodoのサーバー上で走ることになるのだろう(このあたり未確認)。
勘の鋭い人なら分かったかもしれないが、このQuomodoのサーバーというヤツは、AppleScriptを独自拡張したSmileの処理系+AJAXで動いているようなのだ。いくらAppleScriptの処理が昔に比べて高速になったとはいえ、Webサーバー系のような同時に大量のリクエストが来るようなサービスに使うのはちょっと怖いところなのだが……。
で、フルスペックのスマートノート(サービス)については、利用者に料金を課することも検討されているようで……WebベースのアプリケーションをAppleScriptかJavaScriptで書いて、エンドユーザーに有償公開するといった図式を描いているらしい。
このQuomodoがどの程度のスケーラビリティを持っているのか、その点がひじょーーに気になる。とくに処理速度が遅いとか重いといった印象はないのだが、これから先どうなるのか、対処できるのかできないのか。
場合によっては、いろいろQuomodoのサービスを作ってみてもいいかもしれない。正式運用開始は2007年の3月だか4月といっている。実際に負荷がかかった時にどのような挙動を示すか、そのあたりで真価が問われるところだろう。
■後日談
AppleScriptでWebサーバーを構築するという方向性については、最近はすっかり例を見ないので、どの程度使えるのかはさっぱり不明。言語がどうの環境がどうのというよりも、フリーで利用できるフレームワークの充実度のほうが重要といったところ。そのため、周囲でも評価する声より懐疑的な見方のほうが強い。
MLでは敬意を表しておいたが、いつものエマニュエルのおとっつあんからすると、やや控え目な反応であった。"Encourage"って「励まし」という意味だと思うのだが、すこーーし弱気な印象であったというのは感じ過ぎであろうか。イノベーションを起こそうという人間は、とかく世間の無理解と攻撃の対象になりやすいので、テンションを維持しつつ、世間をあっと言わせるようなものを出していただきたいものだ。ちなみに、Smileだけでも十分に世間をあっと言わせるようなレベルのソフトだと思うのだが、そのすごさがフツーの人にも分かるような見せ方をしていただきたいものである。彼のことは心の底から尊敬している。