ケータイ白書2008をひもとく

インプレスR&Dから出版された「ケータイ白書2008」を読んでいた。買ったものではなく、同僚からもらったものだ。

本書は、利用者動向の統計資料や、通信事業者動向、ビジネス動向の解説文、端末・技術動向、海外動向などをまとめた本だ。本文中に登場するグラフの抜粋をHTML形式で収録した付録CD-ROMが付いている。付録の総容量が20Mバイトそこそこのコンパクトさなので、付録CD-ROMには期待しないほうがよい。

携帯電話市場についてだいたいの動向は知っていたつもりだが、「GPS機能つき携帯の所有率は4割」とか「au以外のキャリアではGPS利用率が低い」といった細かい情報はこの本を見るまで分からなかった。なるほどねぇ。

本書で紹介している統計は、インプレスR&Dが無作為抽出による調査を行ったもの(らしい)。だが……統計学的に見ると、早くも17ページ目にして統計サンプル母集団の内訳に大きな偏りがある点に気付く。この母集団のグラフだけ、円グラフではなく棒グラフになっているあたり、構成比率を直感的に分かってほしくないという編集意図が垣間見えて楽しい。

無職(4.4%)、学生(13%)、フリーター(13%)、主婦(14.9%)の比率が高すぎるのだ。また、自営業と自由業を足すと6.2%にもなる(汗)。だいたい、積極的にアンケートに応えてくれる人なんて、必然的にそういう人種が多いというのは分かるのだが……

サンプリング数が2,000ということで、統計学的に日本全体のモデルを反映するために必要とされるサンプリング数(N=1,000)の2倍も(!)調査していることから、実施する側もサンプルの偏りについては、ずいぶん気にしているようだ。

だが、どうせ自分たちの「想定利用像」から大きく外れるデータは「ノイズ」としてフィルタリングしたりしているのだろう。生データを確認できないと、トンでもないことになりそうだ。

そういう懐疑的な人(およびビジネスの都合上データが必要な人)のために、生データを別途販売しているあたり、ああそういうビジネスモデルですか〜という軽いめまいをおぼえる。

そうした母集団の傾向さえ把握しておけば状況把握のためのツールにはなることだろう。お値段6,800円!

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