スマートブラウザ

自社製の形態素解析エンジンを搭載したWebブラウザが登場した。紹介文をよく読むと、どちらかといえば自社製の形態素解析エンジン「言語郎」の方が主で、Webブラウザはそのデモンストレーション用に作ってみたもの、という位置づけのようだ。
http://gengoro.zoo.co.jp/browser.php

形態素解析エンジンをWebブラウザが搭載すると何ができるか、というテーマに対し、

・キーワード入力を行わなくても、Webコンテンツからキーワードを切り出して擬似的にリンク(検索エンジンで検索)が行える
ルビ振りなどを動的に行える
関連するページの検索が行える

といったことをメリットに挙げている。スケールダウンさせて携帯電話向けにいいかもしれない。たしかにテンキーで検索用キーワードをいちいち入力するのは、しんどい。

類似ページ検索を行うというのは、自分も考えていた。ただし、ブックマークのあたりにこれを使わなかったのには意外な感じがした。製作チーム内での意見のフィードバックがあまりなかったか、きわめて少ない人数で作られたという感じがする。優秀な少数の技術者が作ったに違いない。下手をすれば、1人か2人ぐらいだ。
その他、形態素解析エンジンの解析結果をそのままテーブルビューで見せられたりと、エンドユーザー向けというよりは「その筋」(形態素解析エンジンマニア)や、メーカーの技術者向けの評価用デモ的な作りである。

この形態素解析エンジンはWindows用のほかUNIX用もあり、Mac OS Xでもし仮に使うとしたら後者になるわけだが、Web上に価格は一切記載されていない(だからといってフリーというわけではない、念のため)。OEM狙いなんだろう、という感じがすごくする。

この会社の企業情報をよく読んでみたところ、これまで病院向けのシステムを作ってきたらしい。所在地は長野県だ。EPSONあたりとつながりがすでにあるのかどうかは不明だが、割とベンチャー企業的な性格の会社のようだ。UBAの名前は久しぶりにみかけた。昔、UNIX USERに広告が載っていたので、作らされていた広告請求ハガキの原稿の中によくその名前を見かけた。

形態素解析エンジンは、ものすごく可能性を秘めた技術……というより、ちょっとのセンスでもおのすごいソフトを作れる起爆剤になる。日本語インプットメソッドの中だけに閉じ込めておくのはもったいない技術だ。

言語郎UNIX版、使いたいな〜。

ひとつだけ気になったのは、開発者がまじめすぎるのではないか、と思われる点。形態素解析エンジンの性能について言及している箇所で、わざわざ新聞のような文章であれば高い解析精度を……と明記してあった。これは、注か何かで小さい文字ででも書いておけばいいのに……実に生真面目さを感じさせる。

だが、まじめすぎる人間が作ったシステムというのは、往々にして強度に欠けるきらいがあある

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