実は3つも存在したRubyOSA関連プロジェクト

HASにメールで「あんたがたのプロジェクトの関係は?」と尋ねたところ、いろいろ状況が分かってきた。プロジェクトは2つだけではなく、実は3つもあったりして……しかも、それぞれのプロジェクトは仲が良くなさそうな感じであったり(汗)、それぞれに得手・不得手があるようだ。
このあたり、直接プロジェクトを行っている連中とコンタクトをとって話を聞いたりしてはじめて明らかになってきた部分でもあり、正直、驚きを隠せないでいる。

■Phillip AkerのRuby OSAプロジェクト
http://homepage.mac.com/philip_aker/osa/osa.html 

現行のMac OS X 10.4とか10.3をターゲットに開発しているのが、このPhillのRubyOSAプロジェクトだ。日本語環境でも動作が確認されており(まだ「動いた」だけだが)、スクリプトエディタ上で動作するため扱いやすい。インストールのしやすさは折り紙付きである。

反面、イベントを受信して動作するタイプのScriptを置き換えることはできず……Folder ActionとかMail.appのRule、iCalのイベントやらAddressBookのコンテクストメニュー呼び出しとかいった用途に用いることはできない(HAS談)。でも、Dropletにすることはできるようなのだが……。

■HASのrb.appscriptプロジェクト
http://rb-appscript.rubyforge.org/

AppleEventブリッジによって、普通のRubyからAppleScript対応のアプリケーションをコントロールする機能を提供するプロジェクト。厳密にいえばOSAではないので、スクリプトエディタ上で記述するものではない。実行速度は速そうだが、どちらかといえばこの手のScripting環境は分かりやすさとか書きやすさが肝なので、本プロジェクトの記述のしづらさとかインストールのやりづらさはマイナスと思われる。

■Nick Sieger@AppleのRubyOSAプロジェクト
http://blog.nicksieger.com/

Mac OS X 10.5に載るといわれているのがコレ。というか、彼がAppleにおけるMac OS X用のRubyプロジェクトを行っているとのこと。RubyOSAはその名のとおり、OSA言語として提供されるようであるが、そのほかにも「RubyCocoa」と呼ばれるRuby/Objective-Cフレームワークが提供され、Cocoaアプリを書けるようになるようだ。

ただし、Appleのエンジニアにありがちだが、ちゃんと日本語環境で、しかもAppleScriptによるアプリケーションスクリプティングの経験のある人間たちによって実戦環境で揉まれている形跡がまったくないため…………リリースされても使い物にならない雰囲気がものすごくする(ーー; 日本語がらみのバグを山のように抱えていそうである。

職場で同僚にこうした状況をレクチャーしたところ、どれも決定打になり得ないというか……サードパーティがいまさら相手にしないだろうというところで意見の一致を見た。第一に、Adobeを筆頭にAppleScriptのスクリプティングですらまともに検証しないまま製品を出荷しているメーカーがある中、スクリプティング言語をまた増やしても、よほどメリットがあるのでなければドキュメント化などの労を割かないだろう、というところ。

だいたい、Rubyの言語仕様でAppleScriptのすべての機能を再現できるとは思えず(ignoringとかconsideringとか、あとはフィルタ参照とかできるんだろうか??)…………結局のところ海外のRubyマニアの玩具で終わりそうな気配すら漂ってきている。

アプリケーションのスクリプティングをこれらのRuby処理系を用いて行った姿は……一昔前のFrontierそっくりだ。逆にプログラムが難解に見え……とても一般ユーザー(非UNIXユーザー)が飛びつくものとは思えないのだ。
RubyCocoaにしたところで……JavaBridgeの開発をメンテナンスモードにして新たにRubyBridgeにしましたというのは……海外の開発者が納得するものだろーーか?

ものすごく、ダメな雰囲気が漂ってきている昨今である。

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