ライ麦畑で花束を

たまに、芸能人が読んでいる本が流行る……というパターンがある。一昔前……いや、自分が高校生だか大学生だかの頃にもそういうことがあった。
「ライ麦畑でつかまえて」……この本を読んで感動した芸能人の話が雑誌だか新聞で伝えられ(小泉今日子だったか)、若年層を中心に書店で買い求める姿が絶えなかったという。

ふ〜ん、そんなに面白いものなら読んでやろうじゃないの。

中学生の頃、小説なら日に3冊は読み漁っていたという「本の虫」であった自分は、いまはあまり読まないが、大学生の頃であればまだまだ読書欲ますます旺盛という時分であった。

自分は文系の学部に進学したわけであるが、それは「算数ができない」という意味においての「非理系」という程度の文系であって、「文」が示すとおりの文学などに才能があったからそちらに進んだわけでは決してない。ないったらない。

大学時代も、日々、コンピュータにうつつを抜かしていたような気がする(ああ、今の今までずっとそうだ)。

脱線した。話を戻す。「ライ麦畑でつかまえて」(日本語訳版)を妹が持っていたので貸してもらって読んだのだ。

……………なんですか、コレは?(汗) 話の内容をよく覚えてはいないのだが、空前絶後のつまらなさであった。

まったく面白くない。それだけは、誰に対しても断言できた。感動? 冗談ではない。そんなご大層なものではない。

あれで感動できるのであれば、よほど日本語訳がひどかったか……読んだといった芸能人は英語版の方を読んだのか……あるいは、実は「まったく同名の別の本」だったのか、そんなところであろう。

BOOWYのボーカルである氷室京介(当時人気絶頂期)が、「アルジャーノンに花束を」を読んで、何度か歌にしている。これも、読んで感動したからだというので読んでみた。

うーーーーーーん、話のプロットは面白いかもしれないが、爆笑するような面白さではなく、また……ここが重要なのだが、間違っても感動するような内容ではなかった。世の中にはもっと骨太で面白い本がうなるほどあるのだ。
結局、そーゆー芸能人あるいはそれに類する人が「面白い」という本で面白いものなどなかった。無名であっても本当に本好きな人が勧めてくれた本のほうが何倍も面白いこと間違いなしである。

だいたい、その手の類いの人の多くは(すべてとは言わない)学校の勉強なんて大してやっていなかったりできなかったりするわけで…………「他の本は難しくて読めなかったけれど、これなら自分にも読めた」とか「初めて文字だけの本というモノを読んだら、ことのほか面白かった」……という程度の話が一人歩きを初めて、「○○さんお勧めの」という肩書きがついてしまっただけなのかもしれない。


後日談:記憶があいまいだったので、あらためて書店で手にとってみたが、実にひどかった。1ページ読むことさえままならなかった。実にひどい。誰があんなひどい本に感動できるというのだろう。

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