きょうの猫村さん

同僚から「きょうの猫村さん」というマンガを借りた。インターネット上で1コマずつ公開していたものを本にしたとかで、ネット上で人気になって出版に至ったとか聞いている。
その手の本は、「ゲテモノ」として見なし、あまりすぐには手を出さないのが自分の常である。だが、たまたま貸してもらったので、読んでみることにしたのだ。

まるで鉛筆で書いた下書きそのもののような、気合いの入っていない絵。すべて1ページに2コマ、見開きで4コマという定型フォーマット。ストーリーも、猫のお手伝いさんがまるで市原悦子よろしく淡々と日々を過ごすというものだ。

ヤマなし!! 意味なし!! オチなしっ!!

なのになぜか、流しそうめんのようにするすると2冊読んでしまった。

考え込んでしまった。これは面白い本なのだろうか、と。
血沸き肉踊るようなドキドキハラハラのストーリーではない。なんとなく、するすると流れ去ってしまうような内容である。

面白い本ではないのだろう。でも、なぜか読み続けさせてしまうような何かがある。

それは、何なのだろうか?????

しばらく考え、同僚と確認して気がついた。このマンガは、姑息なまでに「お約束」を徹底的におさえるのだ。

不良で手がつけられない一人娘が出てくると、「実は、心やさしい人なんじゃないの?」と読むと、そのとーーりにストーリーが展開する。

おそらく、そうした「お約束」がぴしっぴしっと決まったときの(地味な)爽快感があるのだろう。むむむむむむむ…………。

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