湘南通商、お前もか?!

秋葉原には、小学生の頃から通っている。当時は、まだ電子部品とか家電の街であり、その後の「パソコンの街」「アニメ、ゲームの街」「オタクの街」という激変を迎える前のことだ。
最初に秋葉原に行ったのは、自分の意思ですすんでではなく、父親にお使いに行かされてのことだった。「真空管アンプに使う真空管を買ってこい」ということだったと思う。小学校2・3年の頃の話で、1時間半もかけて見ず知らずの地に真空管を買いに行かせる父親も父親である。

当時目にした秋葉原は、電子部品の店ばかりが狭い場所に軒を連ねている、見たこともない空間であったことを、今になっても鮮明に記憶している。その日は雨が降っており、足下はなぜか水たまりができていた。

そして時はどんぶらこと流れて、大学生になった頃、またふたたび秋葉原に通うようになり、友人から教えてもらってさまざまなディープな店やジャンクの掘り出し物を期待できる店などを回るようになった。

その中に、Laoxザコン館の横、急で細い階段をあがったところにあるジャンク屋が2軒。右側に丹青通商、左側に湘南通商である。

その存在を知ってからというもの、秋葉原に足を運びながらこれらのジャンク屋に行かないことは、まずなかった。どちらかといえば、丹青の方が興味深いジャンクを売っていたように思う。マシン全体ではなく、パーツレベルのものが多かったようだ。

就職してからも、しばらく秋葉原には足を運んでいたが、新宿エリアの方が近いのと、このころから秋葉原のイメージ低下が著しく……また、ジャンクに手を出す必要性も低下してきていた。新品なら新宿の方が便利だったのだ。

丹青通商が店をたたんだのを知ったのは、つい最近のことだ。かなりショッキングな出来事ではあったが、丹青のホームページを見ると、

ジャンク屋 たんせい秋葉原店 をやめる理由  

  昔ながらのジャンクやでは維持できなくなった。

  自作する人がほとんどいなくなった。

  ジャンクの意味が分からない人が多くなった。

http://www.tansei.co.jp/
とある。無理もない話である。

それでも、向かいの湘南通商はしぶとく店を続けていた。先日、奥方様を連れてあの狭くて急な階段を登ったのだが、まさにそれが最後になった。
今日、湘南通商に足を運んでみたら、そこに湘南通商はなかった…………。


「くるべきものがきた」


この狭くて急な階段を登る理由が完全に消滅してしまったことが、すぐに理解できた。もう、そこに湘南通商はないのだ。












湘南通商、移転




そう、湘南通商は店をたたんだのではなく、6月16日にラジオデパートのB1Fに移転して営業を行っていたのだ。
http://www.shonan-t.com/

ラジオでパートのB1Fといえば、Mac系のジャンクを扱っている店があるので、ごくたまに足を運ぶ場でもある。

丹青はジャンク屋だったが、湘南は中古屋であり、自作を行わない人でも利用しやすいのだろう。その辺が明暗を分けた差なのだろうか?(もちろん、理由はほかにもいろいろあるとは思うが)。

なじみの店が生きながらえてくれるというのはうれしいものだ。たまには何か買いに行かなければ…………。

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