手書きタブレットはずいぶん昔から存在する入力装置だ。そのまた昔には「ライトペン」なる周辺機器があって、CRTの走査線情報を読み取って位置検出を行い、CRT上に手書きする環境を実現していた。
ライトペンと比べると、手書きタブレットはかなり「後退した」インタフェースだ。画面に直接書き込めるライトペンとは異なり、手書きタブレットは入力側(タブレット)と表示側(ディスプレイ)が別れてしまっている。やはり、「直接書き込める」感覚が再現されていないと、使い勝手はめちゃめちゃ落ちる。
たしかに、液晶手書きタブレットという「液晶ディスプレイ+手書きタブレット」という製品も出てきてはいるが、いまひとつ実際にダイレクトに書いている感覚を再現するレベルには至っていないように思う。
ワンアクション遅れるというのだろうか、描画がひと呼吸遅れてなされるのだ。高速なマシンを使えばレスポンスタイムは改善されるとはいうものの、デモ機をさわるかぎりではいまひとつだ。
もうひとつ大きな問題がある。タブレットは紙ほど「書き味」がよろしくないのである。
10年以上昔に、「インターネット時代には認証のために、タブレット経由でサインを行うことが常識化するに違いない」という話が身近で起こった(PC WEEKの浅井さんに聞いた覚えが^ー^;)。
その話にいたく感銘を受けて、ハガキ大のタブレットを購入してみたのだが……書き味が異様によろしくない。滑らかでないというか、インクの切れた万年筆で紙をひっかいている感じというのだろうか………ともかくひどくて、一度お絵描きをしてお蔵入りした(ADB接続のものだったので、USBに切り替わったタイミングで捨てた気がする)。
2年ほど前、奥方様の誕生日(結婚前のことだった)に手書きタブレットを買って差し上げたのだが、これも使われずに本棚のコヤシになっている。自分も試してみたのだが、書き味に関してはさっぱりであった。もちろん、筆圧検知など基本性能は向上しているのだが、インクの切れた万年筆という印象は相変わらずだ。
タブレットの広告では、マンガ家が使っている例が紹介されているが、ものすごく我慢しながら使っているんだろうなぁ、と思うものだ。タブレットのペン先を削ったりして自分に合うようにカスタマイズしまくっているに違いない。
やっぱり、紙と鉛筆とか、紙とボールペン、紙と万年筆という組み合わせが持つ独特の「書き味」というのは他に替えがたいものなのだろう。
「なら、変えなきゃいいじゃん!」
というアプローチも当然のことながら存在する。アノトペンだ。
http://www.anoto.co.jp/
アノトペン、タブレット、イメージスキャナー……といったあたりを組み合わせて(機能や持ち味をブレンドして)、手書き入力(for ハイエンド絵描き)技術というのは完成していくのではなかろーかと思うものだ。