バカにつける薬、コンピュータにつけるリモコンにつけるリモコン

テレビでビデオなど、家電製品に必ず付いてくるといっても過言ではない赤外線リモコン。家電製品の機能増加に伴い、ボタンの数も増えてきたという経緯がある。

たとえば、テレビのリモコンだ。


外部からのビデオ入力が付くようになって、「入力切替」が、音声多重放送が始まるようになって「副音声」といったボタンが追加された。


テレビにビデオが内蔵され、ビデオの操作用ボタンもついた。どんどん細長くなり、ボタンも増えた。皮肉なことに、リモコンにボタンが増えたことで操作性が向上したようには見えない。


逆に、高齢者層を中心に「どう使ってよいか分からない」という声が大きくなった。


一時は、機能追加競争に明け暮れた携帯電話の業界においてさえも、最近ではシンプルさを売りにした製品がヒットを飛ばすようになった。「シンプル・オペレーション」は時代の必然的な流れである。


そこで考えるのである。リモコンに最低限必要なボタンとは、一体いくつぐらいなんだろうか、と。


操作に即時性が要求されるものは、専用のボタンがあったほうがよいだろう。たとえば、電源ボタン、音量調節ボタン、ミュートボタン、選局ボタンである。チャンネルはすぐに切り替えたいし、音量調節もまた然りである。


ここで問題になってくるのが、メニュー系のボタンだ。


「メニュー」という概念をユーザーに理解してもらえるのかどうか、それに成功すれば、あとは矢印キーなどでメニューを移動して操作してもらえる。だが、メニューという概念を理解してもらえない(と、開発者が判断した)場合には……各種機能を呼び出すための専用ボタンが、リモコン上に配置されることになる。


メーカー製PC/AT機のキーボードに見られる「インターネット」ボタンという存在に、それはひどく似ている。


一度、「リモコン」という話から離れて、MP3オーディオプレーヤーの世界に目を移してみることにしよう。


http://www.gigabeat.net/mobileav/audio/product/specification.html


東芝のHDDプレーヤー「gigabeat」のボタン類の説明のページだ。左側のgigabeat Fシリーズにご注目いただきたい。


ボタンが配置されているのは本体正面のほか、側面。さらに、プログラマブルなボタンとして「Aボタン」というものが存在する。なんだ、このファミコンみたいな「Aボタン」というのは?


この、Aボタンというのは「イコライザ、アルバムスキップ、ブックマーク、SRS、WOW、ミュートのどれかに割り当てることができます」ボタンなのだそうな。

爆笑した。これでは、センスのかけらも感じられない。


一方、iPodの操作系を見てみよう。


http://www.apple.com/jp/ipod/


操作系はすべて正面に集中しており、電源ボタンすらホイールコントローラで兼用している(再生ボタンの長押しでパワーオフ)。さらに、ホイールコントローラにクリック機構を付加したことで、ホイール(選曲など)とボタン(早送りなどの機能呼び出し)というまったく異なる操作系を1つのクリックホイールの中に収めてしまっている。


正面から見て左右対称であるため、左利きでも右利きでもまったく操作に影響が出ない。


この「クリックホイール」という機構は、他の機器の操作にも有効だろう。

ここで本題に入る。


Mac miniの登場で、これを家電ライクに使ってみようとするユーザーがにわかに増えてきた。画面から3メートル離れても判読できるメニューを付加し、これをユーザーに操作させるのだ、との方向性については理解できる。


だが、肝心なコントローラの問題がおざなりである。


ATIが発売しているような、ボタンがてんこもりのリモコンをそのまま使おうという話すらある。


とんでもない話だ。


シンプルに操作できないのであれば、Mac OS Xらしい操作感をもたらさないのであれば、意味がまったくない。マニアがMacをリモコンで動かして遊びたいのだろうが、それで他のマシンよりも使い勝手が落ちたり同レベルにしかならないといった話であれば、あえてMac miniを家電的に使う必要性などないのだ。家電機器やWindows PCでも使っていたほうがよいだろう。


既存の「ボタンてんこもりリモコン」ではなく、もっとシンプルなオペレーションこそが必要とされているものである。


液晶タッチパネルタイプのリモコン、というのはいくつかある選択肢の中で、かなり有望なものだろう。以下のリンクはいろいろと参考になった。


http://www.binword.com/blog/archives/000323.html

http://www.artea.co.jp/remo-style/index.html


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