Macで地理情報システム

昔、ProAtlasとファイルメーカーProをAppleScriptから叩いて、住所ジオコーダーを作成したことがある。住所から緯度・経度を算出するというもので、フツーに買えば10万円オーバーの代物だ。


それを、AppleScriptとProAtlasだけで実現してしまったわけで、コストパフォーマンスは非常に高かった。これについては、以前に書いた気がする。


だが、この技術を開発したはよいものの、なかなか活躍の機会がなかった。日常的に、あんまりそこまでしゃかりきにデータ解析する必要性に迫られることはないからだ。


一度だけ、おっそろしくのんびりした用途ではあるものの、「町内会の特別会員の分布マップを作ってみよう」という用途が出てきた。父親に頼まれたので、作ることになったのだ。住所データを緯度・経度データに「住所ジオコーダ」を用いて変換し、得られた緯度・経度で地図上にポイントをプロットした。AppleScriptであっという間のお仕事である。


1人で悦に入っていたのだが、ジョブを走らせたあとに検証作業を行ってみたところ、トンでもなく誤差が出るデータがあった。


後日、ProAtlasのプログラムを実際に作られたFさんとお話する機会があり、この理由についてうかがったところ、内部データベースに登録されていない番地データは、その区画の原点座標を返す仕様になっていること……つまり、ProAtlasが参照している住所-緯度経度対照表データベースが作られたときに、該当の建物がまだ存在していなかった可能性が高い、ということを伺った。


かくして、一度しか活躍する機会のなかった自作の(簡易)地図情報システムだが、こういうものが活躍できる機会がないだろうかと下調べだけは続けていた。
最近調べたところでは、Mac上にGISのソフトウェアそのものがいくつかポーティングされてきており、フリーで利用できるものもあるようだ。このあたり、UNIXベースのOSの強みだろうか(Classic Mac OSの頃には考えられなかった展開だ)。


■GRASS GIS(OpenSource, Free)
http://openosx.com/grass/
■GRASS GIS COMPLETE ON MAC OS X
http://wwwamb.bologna.enea.it/forgrass/
■GRASStep GIS(OpenSource, Free)
http://grasstep.sourceforge.net/
■Quantum GIS
http://qgis.sourceforge.net/


日本語の情報源はこちら。
■Project 0(Mac OS X上のGIS情報)
http://project0.exblog.jp/i5
■てくてくGIS(GISの基礎を丁寧に解説)
http://home.csis.u-tokyo.ac.jp/~akuri/


ただ、組み合わせ可能なデータベースがMySQLだったり、実行するのに環境変数をTerminal上から設定してやる必要があったりと、「どこがMac用じゃい!」と憤慨するような出来であった。普通、そういうのはインストーラの後処理とかでこっそり人目につかないように行っておいて、ユーザーにやらせないのがMacの流儀だ。

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