iPodエスカレーションの図式

奥方様がご使用になられているiPodは初代モデルである。「音楽を聴くだけならMDよりもはるかに便利」とのことで当初は満足度も抜群。とくに、奥方様がご贔屓にしているB'zのアルバムをすべて収容してまだ余りある容量は魅力であったらしい。すぐにMDは使わなくなってしまった。

かくして、自分はiPodを奥方様に奪わ……もとい、お貸ししてしばらくは「iPod抜き」の生活を送り……ほどなくiPod photo 40Gのオーナーになり仰せた。
カラー液晶、大容量で画面のテレビ出力も可能なiPod Photoには奥方様も羨望の眼差しで見ていたものだが、

「今度、ムービー再生機能つきのが出るようだから、その時まで待て」

となだめすかして、8か月あまりが経過。待てど暮らせどビデオ再生機能つきiPodは登場せず、戦線は膠着状態に陥っていた。

そんなある日、

 「ヘッドホンがこわれたよ〜」

奥方様の乱暴な扱……いや、積極的なご活用によってiPodのヘッドホンが壊れたらしい。もういい加減に寿命なので、仕方のないことだ。オリジナルiPodのヘッドホンは現行のものより寸法が大きく、「耳の穴が大きくなるヘッドホン」と奥方様に呼ばれていた。

かくして、お出かけした時に「壊れたヘッドホンの代わりを買ってあげようか?」という話をしたところ、

「前に買ってくれるっていったじゃんか、iPodの新しいのが欲しいぞ私は。もうおふるはいやじゃ〜!!」

……などとのたまわれる奥方様(汗)。去年iBookを自腹で購入して以来「もうiBookじゃなくて17インチのパワーブックが欲しい」とか、「画面の広いやつが欲しいな〜」などと主張するようになってしまったのだ。

確かに、奥方様は自分のスパルタ教育のたまもので短期間で急速にパワーユーザーに育ったのだが、その当然の帰結として「速くて快適なマシン」に目が移るようになるのも早かったのだ(涙)。だから、あなたのiBook G4は……すでに我が家で一番高速なマシンなんですけど(号泣)

話を元に戻そう。奥方様にiPodが欲しいと言われ、お財布と相談したところ……日々慎ましく暮らしているおかげで、給料日前ながらiPodを買えるぐらいの(ただし、買ったら消滅する程度の)余力はあったのだ。

iPod nanoの2Gを想定してお話をしつつ、立川のビックカメラへ。「白より黒がいい」などと他愛のない話をしつつ売り場に行くと、そこには奥方様が初めて目にするiPod(ビデオ再生機能つき)が!!

iPod nanoの薄さ軽さに関心しつつも、ハイエンド娘になってしまった奥方様は、当然のごとく「こっちのほうがいい」と。

来る途中の電車の中で、iPod nanoの2Gか4Gかということで、どうしても4Gでないとダメだという話になって……まあそのぐらいは仕方ないか、とあきらめていたのだが、さらに価格アップである。っていうか、iPod nano/2Gからするとすでに、

      倍近いお値段

になってしまっているのだ。しばらく、呆然とたたずんでいると奥方様はついに魔の「iPod 60G」に手を伸ばしかけていた。そこはなんとか、持っているiBookより容量の大きなiPodを買っても意味ないよ、とかなんとか言いくるめて、iPod 30Gで我慢していただくことにしたのだった。

うーーーーん、今のラインナップ構成だと、どんどんエスカレートしてここにたどり着くのはむしろ「当然」なのだろー。心の中で号泣する私を尻目に、奥方様はiPodの保護シールを嬉々として貼っているのであった。

おそるべし! iPodエスカレーション!!(号泣) あと2日間、不意の出費がないことを天に祈るばかりだ。お財布スッカラカンである。

しかし、iPodエスカレーションの恐ろしさはこんな生易しいものではない。やがて、調子に乗ってコンピュータ本体にどんどん音楽ファイルを突っ込んでいくと、ノートだったらすぐにHDDが満杯に(汗)

すると、どこからともなく悪魔の声が聞こえてくるのだ。

「もっと容量の大きいマシンに乗り換えたほうがいいんじゃないか?」

次こそはPowerBookとかいうんだろう、絶対に。

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