自分を称して何と呼ぶのか? それは長い間の課題だった。
システム・エンジニアというのは、なんとなく違う気がする。実際にシステム・エンジニアと呼ばれる方々は、かなり管理や交渉に仕事のウエイトを置いているように見受けられる。
本来、自分はアイデアを出して、周りの人にお願いをして仕事を割り振り、全体を形作っていくディレクターとしての立ち位置を目指していた。
しかし、自分でモノを作れないと、説得力が生まれて来ない。アイデアをある程度カタチにしなければ、人は動いてくれないのだ。
かくして、自分でいろいろ作るようになって久しい。自分でアイデアを出し、自分で作り、自分でそれをプロデュースするという状態だ。
プログラマーという言葉もしっくりこない。
プログラマーというのは、専門教育を受けてみっちり現場でシゴかれて、徹夜をしながら辛い仕事をこなしていくという、いわば……軍人、のような職業に見える。
USでは、システム・エンジニアという言葉は日本ほどには一般的ではなく、そういう仕事に就いている人を称して「アナリスト」と呼ぶのだそうな。相談に乗って、いろいろと分析を行うわけだから、あながち外れてはいない。ちょっと「攻め」の姿勢が感じられる言葉である。
だが、ここは日本。相談に乗っても、相談にはお金は出てこないという土地柄である。アナリストだぜ! と、息巻いても「それってナニ?」と言い返されてしまうのがオチだ。
では、まったく新しい言葉を作り出すしかない! そう思い立って、いくつか候補語を出してみた。
「システム・クリエーター」……具体的に何にも言っていないところが素晴らしい。ちょっとクリエイティブな香りがするかもしれないシステムを作る人、という意味だ。四文字の識別子のことではない。
「システム・アーティスト」……芸術的なシステムを作る人、という意味。システムはアートだ! と思っているので、自分としてはいい感じなんじゃない? とは思うのだが、友人知人が一斉に吹き出しそうなのでやめておこう。
「システム・グレインダイザー」……UFOロボ(古)である。
「システム・アキュムレーター」……計算を行う人らしい。
「システム・コーディネーター」……遺伝子操作による強化人間である。
「システム・トランキライザー」……精神安定算である。
「システム・ローリングクレイドル」……プロレス技である。
……やはり、「システム・クリエーター」であろうか。自分のお師匠様に当たる方は、「コードは短ければ短いほど美しい」という美学を持っておられる方であったので、自分もやはりそういう傾向がある。ただ、こういう分野で「芸術家肌」というのは、揶揄する言葉にこそなりはするものの、賞賛の言葉にはなりづらい。
次の名刺の肩書きは、システム・クリエーターで行ってみるか。