きわめて私的な事柄で言えば、結婚とか就職とか転居とか(これはまだ探している最中)、きわめて激動の1年だったのだが、それ以外で、かつ身近なコンピュータの世界の出来事で5大事件といったら以下のようなものになる。
第5位 Tiger発売なるも、バグだらけで話にならず
……他人に「そろそろ乗り換えたい」という相談をされると「まだ様子見」としか今日でも答えようがない。公私ともに大きく振り回された事件だ。まさかあの程度の完成度で発売するとは思わなかった。ことに、Automatorは開発環境そのものがダメダメで、Automatorの編集を開始したとたんにIBが落ちまくる現象はいまだ解決されていない。US Appleのソフトウェア開発現場のモラル低下を強く感じたものだ。
第4位 ビデオiPod発表
まったく新しいものではなく、(製品の登場を)誰もが分かりきったものが発表されたほうが日本のマスコミは驚き、騒ぐのだということを再認識させられた。彼らには想像力というものが完全に欠如しているのだろう。
第3位 Mac mini登場
個人的にはIntel移行を強く予感させたマシン、ということになる。世のWindows PCユーザーが「これでIntel搭載だったら買うのに」とため息をついたという事柄により、「ならば、これがIntelプロセッサ搭載で、WindowsもMac OS Xも動くマシンだったらどうなるのか?」という問いかけを強く喚起した存在だ。AppleがWindowsユーザーのSwitchを本気で促したいと考えるなら、Intelプロセッサの搭載は行うべきものだろう、と
第2位 Front Rowの登場
iMac G5に標準搭載されたApple版10フィートUser Interface「Front Row」は、長らく予測してきたMacの家電化(および、家電コントロール分野への進出)へのベクトルが顕在化したものと見ている。無線LANの導入で足回りを整え、Mac OS Xへの移行でOSの安定度を手に入れ、コンピュータらしくない顔をしてリビングに潜り込むというシナリオを2000年あたりに描いていた。
また、AppleのFrontRowが登場する1年近く前に「こういう感じのソフトで、簡単リモコンのものがあるといい」と言って自分自身でAUGMの場でデモしていた。今年の2月のことだ。
http://www.apple.com/jp/usergroups/augm/tokyo200502/index2.html
その後いろいろと動向を見ているうちに「この手のソフトならApple自身が出す可能性が高い」と思うようになった。ただ、こんなに早く出てくるとは思わなかったが…………。
第1位 Intelプロセッサへの移行発表
Mac OS Xへの移行時、すでにIntelプロセッサへの移行を念頭に置いていたというが、後から思うといろんな出来事がこの移行を念頭に置いての出来事だったように思える。タイミングも、あの時期しか考えられなかった。
Intelプロセッサの搭載によって、これまでには考えられなかったことが起こるものと予想している。以下は、かなりあてずっぽうの「予想」だ。裏を取っているものではないが、これまでに起こった出来事をつなぎ合わせていくと今後の動きはこんな感じになるだろう。
(1)PCメーカーへのMac OS XのOEM供給
自作のPCでは動かない、メーカーPC専用のMac OS Xを他のPCメーカーに供給開始する。HPと……ことによっては東芝とNECあたり。特徴のあるマシンを持っているメーカーがねらいどころだ。海外ではオリベッティなど。とくに、ペンコンピュータや薄型サブノートを出しているメーカーには強くアプローチをしているかもしれない。
ただし、当初は教育市場向けだけにOEM版Mac OS Xを出す、という動きになる可能性もある。
(2)Mac miniのさらなる値下げ
Intel Insideのステッカーを貼ることで販売促進費がIntelからせしめられるのであれば、ステッカーをマシンに貼ることも辞さず、というところ。そのぶん、マシンの価格を下げられるのであれば手段は問わない……Mac miniはそういう性格の手駒だろう。
(3)PowerBook/iBookラインの整理
12インチのPowerBookがなくなることは確実視されているが、PowerBook/iBook間でさらにラインナップの整理が行われるかもしれない。iBook 12インチモデルはキーボードを搭載せず、ペンコンピュータにしてもいい。呼称の変更も行われるかもしれない。
……といったところか。ほかにも、ビデオコンテンツの著作権に関する発表や、次世代高速無線LAN(WiMax)の発表などもあるかもしれない。