Spoken Interface

Mac OS X 10.4“Tiger”では、音声による操作インタフェースである“Spoken Interface”が搭載されるという。現在漏れ伝わっているかぎりでは、このSpoken Interfaceは英語の音声認識のみ実装されるようだ。

Mac OS Xには当初から(英語の)音声認識機能が搭載されている。Apple Speakable Itemsと呼ばれ、一覧からコマンドを選んで発声するとバッチ処理が実行できるというものだ。

Spoken Interfaceは、マウスやキーボードを使わず、音声でインタラクティブにやりとりを行うためののようだ。操作よりもフィードバックに重点を置いているように見受けられるが、ワープロの文章の操作、といったこともできると言っている。

なぜ、このような音声インタフェースが必要になるかといえば、ひたすら障碍者向けということになるだろう。コンピュータに指示を与えるのに、細かい操作を「そのメニューのそれをどうして、文字を3つ打って」などと一般のユーザーが声で行うわけがない。

音声によるインタフェースは、だいたいにおいて、この細かい方向にどの程度指示を与えられるかという点に注意が払われる。

よく考えると、これはおかしな話である。

目が見えない人にGUIを説明するのは難しい。ウィンドウの位置、ボタンの個数、それらがどのような色になっているかなど説明すべくもない。どのようなウィンドウが開いているとか、どのようなダイアログが開いているとか、そんなことを声で説明されても「?」と思ってしまうだけだ。

スタートレックの世界を夢見る自分にとっては、「コンピュータ、メインスクリーンに敵の様子を映してくれ」といったように、もうコンピュータの存在とかウィンドウの枚数とか位置といったものはおかまいなしに命令したい。


たいていの用途において「GUIを意識した」あるいは「GUIというものを知っている」ことを前提に作られた音声インタフェースというのは、逆効果なのではないかと思うのだ。

全盲の人がいて、彼もしくは彼女はコンピュータの画面を見たことなどない。もちろん、頭の中にイメージでそうしたモノを浮かべたとしても、GUIを前提としたインタフェースでは使いづらいだろう。

弱視の方と意見交換を行う機会があって、どの程度見えるか、見えないかというのは非常に個人差が大きいということをうかがった。画面上の文字表示などえ「まあ、この色なら見えるだろう」という作り手の思い込みで決め打ちしてしまうと使いづらいものになる。カスタマイズできるようにしておくことが望ましい、ということだった。

音声なのだから、GUI的な価値観や操作体系にこだわることはないはずなのだが、Spoken Interfaceの仕様を見るに、GUIにとらわれた操作体系になっているようで気になる。ただ、まだモノが出てきていない段階なので、噂やWeb上の情報から判断するしかない。

まずは、Spoken Interfaceのお手並み拝見、といったところだ。

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