「サービス」はいらない?

NeXTstepの時代から引きずっているMac OS Xの機能に、「サービス」というものがある。NeXTの頃にもあまり使った記憶はないのだが、Mac OS Xでもほとんど使った覚えがない。

Windowsにも似たような機能を見かけたことがある、ファイルを選択して「送る」というアクションを行うことで、いくつかのアプリケーションにファイルごと渡すというものだった。

UNIXでいうと、これはパイプに相当するものだろうか。UNIXベースのNeXTstepにおいて、GUI版のパイプとして「サービス」が作られた……と(勝手に)理解している。

しかし、サービスが実作業で役に立った覚えがない。

複数のアプリケーション間でデータのやりとりをするのであれば、ドラッグ&ドロップの方が直感的だし、「どのアプリケーションから」「どのアプリケーションへ」とデータを移動させるのかが分りやすい。

Mac OS XのPublicβ登場前、Appleの担当課長との懇談の場で「サービスはデータのやりとりが手軽にできてよいかもしれないが、スクリプトのようには記録できないし、それほど存在意義を感じない」と直接意見は言ってみたものの、とくに影響はなかったようだ。

実際にMac OS Xがバージョン10.2あたりから使いものになるようになり、10.3で完全にMac OS 9からの切り換えが行えるレベルになって、アプリケーションをどんどんインストールして使う段階に入ると、各アプリケーションが勝手に「サービス」メニューにサービスを登録してしまうため、気がつくと「サービス」メニューは名前だけでは思い出せないアプリケーションの提供するサービスで埋め尽くされた。

いらないサービスを使用停止にしたり、種類ごとに階層分けすれば使い勝手も良くなると思うのだが、そういうインタフェースが提供されている風でもない。目的のサービスを探そうとして、画面から大きくはみだすほどの大きさのメニューをスクロールさせて四苦八苦することになる。

さらに困ったことに、アプリケーションを作ろうとして「サービス」機能について資料を探してみても、名称が一般的な単語すぎるのが災いしてか、検索エンジンで探してみても、AppleのWeb以外に資料らしい資料が見つからない。

現状ではほとんど使わずにメニューのコヤシになっており、次のMac OS X 10.4でテコ入れが期待される。「サービス」の管理用ツールが添付されたり、相手のアプリケーションを起動せずにファイル間のデータのやりとりだけで、各アプリケーションが記録したデータにアクセスできるようになるのかもしれない。

惰性で引きずっているだけなのか、それとも先々で何かあっと驚く展開が待っているのか、本当にサービスはよく分らない機能だ。

Copyright By Piyomaru Software. All Rights Reserved